三軒茶屋から

なんだかいつまでも会場を去りがたいような、不思議な余韻のある公演だったな。
相変わらずというべきか、まったく予習なしに出かけたのだけど、最初は見に行くつもりはなかったのが、DMの「康本雅子出演決定!」とかいう煽り文句に踊らされて、思わずチケットを買ってしまったという。商売お上手ですね。ていうか、私が引っ掛かりやすい。
大体、ASA-CHANGって聞いて、ああ元スカパラの人ね、くらいの認識なもんだから、マズイでしょう、それじゃあ。ま、逆にいうと、その程度の取っ掛かりはあったわけだけど。

初台から

初・新国立劇場がシティボーイズとは思いませんでしたよ。
初日でもあり口外せぬようにとのことなので、具体的な描写は避けるが、これは、きたろうさんの新境地なのではないかと思った。
いや、決して冒頭の長台詞のトチリを言っているのではないですよ。
平幹二朗ばりの大きな芝居より、ぐっと繊細で、案外きたろうさんのニンに合っているのではないかと思う。

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東中野から

自分は監督でもコーチでもない、現役のプレーヤーだと言う小三治さん。
そう言われてみると、野球の監督やコーチは現役を引退した選手がなるものだが(古田のような例外はあるけれど)、落語家の引退というのは聞いたことがない(これも、当代圓楽のような例外はあるけれど)。
落語家は、師匠と呼ばれるようになっても弟子を取っても、芸人としては現役のまま。いわば選手兼任監督というところか。
サラリーマンのぼくには、定年も引退もない落語家がうらやましく思えるときもあるけれど、死ぬまで現役として修羅を燃やして生きるのもつらいことだろう。

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六本木から

開演前に場内配布のプロフィールを見ていたら、「吾妻橋ダンスクロッシング」には全公演出演、とある。
吾妻橋は近所なおかげで、「吾妻橋ダンスクロッシング」(長いので以下ADXと略すが)は、多分2006年くらいからは大体見ていると思う。ということは、少なくともそれだけの回数、この人のパフォーマンスを見てきているのか。
今回の公演は、ソロパフォーマンス・ベスト・ライブ、というだけあって、これまでADXで見たことのあるものも多かった。

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竹橋から

高梨豊氏は大辻清司の直接の弟子筋だったのか・・・。寡聞にして知らなかった。
どうりで瀧口修造を撮った写真に、時折氏のキャプションを見つけるわけだ。
オリーブの茂る枝の下で、視線を上方に漂わせて腰をかがめ気味に佇む詩人の写真は、高梨氏のものだ。
カタログに収められている写真家の文章の中に、初めての個展の際に寄せられたという瀧口の文章の一節が引かれている。全文を読みたいと「コレクション瀧口修造」の何巻かを取り出して開くが、ちょっと見つからない。時を置いて探すか。

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