染み

玄関の扉を開けると雨。傘が要るほどの雨は久し振りという気がする。このところ毎日そこそこ歩けているのは晴天続きだったせいもあるだろう。

朝は錦糸町の駅そば屋で。かまぼこコロッケそばというのにする。コロッケというが、要は、衣を着けて揚げたかまぼこ。

駅そば屋のスツール席に腰かけたまま、うっぷして寝ている人がいる。前髪が揚げ玉の浮かぶ器の中に浸かりそうだ。まだ若い女性に見えたが、そばを食べ終えたところで睡魔に襲われたのだろうか。

気づかないうちにシャツの胸のところに大きな染みができていてショック。今朝コンビニで買ってきたコーヒーをこぼしたのかな。今日一日この染みをつけたまま過ごすと思うと気が滅入る。

昼はピザ。具は自家製パンツェッタ(塩漬け豚肉)とキャベツ。トマトソースではなくホワイトソースというのが私には目新しい。豚肉の塩味と胡椒がキャベツに絡まって宜しい。トマトは彩りと味のアクセントか。

インフルエンザの予防接種を受けた。少なくとも大人になってからは初めて。子供の頃は受けていたのかな。記憶が遥か過ぎて思い出せない。

錦糸町で用件。八街についての話を聞くなど。ヤチボコリという言葉は初めて知った。

予防接種の後は過度な運動は避けたほうがいいらしい。さっとお風呂に入る程度は構わないそうだが、私の場合入浴すると水風呂との往復で身体を酷使してしまうので控えたほうがいいだろう。

電車で帰って夜の散歩もパス。6,865歩。

亡者

巣ごもり日。辛うじて起き出してゴミ出し。曇り空。昼飯を買いに外に出たら、かすかな雨粒を感じた。

暗くなってから外出。曳舟文化センターの桃月庵白酒・柳家三三両師の二人会に。もともと4月に予定されていた公演の振り替えで、コロナ以前に予約していた公演が払い戻しになったのは何件かあったが、振替公演というのは、今のところこれだけではなかったかと思う。

実は曳舟文化センターに来るのは初めて。立派なホールで、舞台の幅はそうでもないが、天井がずいぶん高い。これまでこのホールを落語会に使っているのは聞いたことがなかったが、興行主に見落とされていただけかも知れない。いい場所を見つけた。ところが、白酒さん曰く、このホールは来年から改修に入ってしばらく使えなくなるのだとか。

開口一番 三遊亭ごはんつぶ「子ほめ」

柳家三三「五目講釈」

桃月庵白酒「首ったけ」

桃月庵白酒「馬の田楽」

柳家三三「粗忽の釘」

終演予定は21時10分だったけど、少し押したか。今日はこれから、夜の散歩はパスして、久し振りに北千住のお気に入りの銭湯に行ってみようという心づもりである。

東武線内で事故があったらしく、半蔵門線との直通運転は休止していたが、北千住に出る分には構わない。

さて、件の銭湯に着くと明かりがついていない。玄関に掛かった板には「ぬ」の一文字。お湯を「ぬ」いた、の意である。月曜定休と思っていたら、月曜が祝日の場合は営業して、代わりに翌日の火曜が休業になるようだ。残念。

そこで、駅から少し歩くが、8月の終わりに一度行ったきりの別の銭湯に行くことにする。

小雨が降ってきたけれど、すぐに傘が必要な程ではない。途中、大門商店街というところを通った。してみると、このあたりは花街だったのだろう。時代から外れたような街並みが街灯の光を受けて小雨に煙る様子には興趣がある。

玄関に掛かった板には「わ」の一文字。こちらは、お湯が「わ」いた、の意になる。

女湯は知らないが、男湯には銭湯絵が二枚ある。ひとつは正面高く掲げられた富士山の絵。よくある画題だが、富士山を旅客機が横切ろうとしているのが珍しいとは言える。

しかし、もっと珍しいのは、向かって左手にある変わり湯と水風呂の上に掲げられている地獄絵だろう。これには前回来た時に気がつかなかった。何かの複製画だろうが、閻魔様を中央に、亡者たちが地獄の鬼から様々な責苦を受ける場景が繰り広げられる。ぶくぶくと泡立つ水風呂に浸かると、ちょうど頭の上に釜茹で地獄の図が来る格好になる。これは、水風呂がぬるいだの狭いだのと不平ばかり言う水風呂亡者への戒めかなと思う。

Y字路に出くわして行先に迷った。人生の行先にも迷っている。私は自分の欲望の亡者だ。

9,056歩。夜の散歩はパスするつもりだったのに、思いの外歩いた。

入浴

国立劇場の11月歌舞伎公演の第二部が昨日から休演になってしまった。第二部は土曜日に見たばかりなので驚く。罹患者の快癒、関係者の無事を願うばかりだが、得体の知れない薄ら寒さは感じる。

午前中の早いうちに外出しようと思っていたが、だらだらしているうちに気が変わって、洗濯機を回したりガソリンスタンドに灯油を買いに行ったりする。地蔵坂通りの「松むら」で「お揚げちらし」というのを買って来て食べた。

再び外出して、北條工務店となりで、オル太「超衆芸術スタンドプレー 夜明けから夜明けまで」を見る。過去の文芸作品や映画において荷風や小津たちがこの地域に投影した視線を彼ら自身が追体験しながら、この地域で実際に聞き取った物語を重ね合わせて、芝居仕立ての映像インスタレーションとして見せているようだ。

どこかで聞いたようなタイトルだと思ったら、1924年築地小劇場初演の『朝から夜中まで』を参照しているのか。土方与志が演出、村山知義が舞台装置を手掛けた演劇作品をここに持ってきた意図は正直よく分からなかったけど。

作品の内容とは直接関係ないけれど、一点、はっと感じたことがある。映像の中で、関東大震災前に浅草観音裏にあった洋弓屋や銘酒屋が震災で焼け出されて玉ノ井に移ったことを紹介していた。そのこと自体は私も聞いたことがあったが、改めて向島と浅草の近さが身体感覚として分かった気がした。というのは、私自身がコロナ以後毎日のように隅田川を越えてまさに観音裏あたり(今の言い方をすれば裏浅草や奥浅草だろうか?)まで散歩の足を伸ばすようになったから。「川向こう」という言葉も、それだけの物理的・心理的な距離の近さがあったということではないか。さらに言えば、よく言われる向島と本所の遠さは、この向島と浅草の近さを対置して考える必要があるのだろう。

曳舟から東武線で浅草、そして銀座線に乗り換えて稲荷町へ。

BE THE VOICEの和田純子さんのソロライブを聞きに。会場のROUTE BOOKSという場所は初めて。緑とアンティーク家具がいっぱいのセレクト本屋とカフェのお洒落空間。隣では陶芸体験をしている人たちもいた。

BE THE VOICEは、その昔コンシピオレコード(高橋幸宏氏と山本耀司氏が主宰していたレーベル)からデビューした頃から、折に触れて聞いているけど、ライブに行ったことはなかったんじゃないかな。コロナ禍の中、彼らのオンラインライブを聞いたこともあって、メンバーの二分の一のライブに行ってみようと思った次第。

J-WAVEの「TRAVELING WITHOUT MOVING」の番組中に流れているCMソングをBE THE VOICEで作ったのだとか。ここ数ヶ月番組を聞いてなかったから、知らなかった。以前、KEN NAKAHASHIの中橋さんがこの番組がお薦めというので、私も何度か聞いたことがあった。

このあたりは滅多に来ないから知らなかったけど、銀座線の踏切があるんだね。

上野から日比谷線で恵比寿へ。長椅子ではなく二人掛けの椅子が回転式になっている車両は初めて乗った。

小腹が空いたので「特性」いなり&そばというのを食べた。

東京都写真美術館に、見逃していた石元泰博展の最終日に。充実した展示で閉館前の1時間半があっという間に過ぎた。

日比谷線を引き返して入谷で下車。入谷という字面を見て、これにサンズイが付いたら入浴だと思う。早く入浴したい。金美館通りを歩いて千束へ。

仲之町通り沿いの甘味屋さんに立ち寄り、焼きそばにオールフリーで休憩。一度入りたいと思っていた店。

馴染みの銭湯まで来た。いよいよ入浴。

湯上がりは久し振りにブックカバーへ。珍しく先客は少なく、程無く私だけになった。生ビールから始めて、クリームチーズの海苔わさび和えと、金山寺味噌をつまみながら、生ハイボール三杯でいい気分になった。霞ヶ浦沿いの絶景銭湯の話を聞くなど。先客の差し入れのチョコレートを貰った。

昼間は暖かかったが夜になると冷えてきた。11,513歩。一万歩超えは七日連続。

紅葉

まずまず早起きできた。柿とリンゴを朝飯代わりに腹に入れて外出。京成曳舟駅へ。

8時22分発の電車は高砂行と表示されているが、実際は高砂で同じ電車がそのまま京成佐倉行の快速に切り替わる。しかし、それなら最初から京成佐倉行と表示しておけばいいのに。何か不都合があるんだろうか。一瞬乗換案内が間違っていたかと思ってしまった。

京成佐倉駅から歩いて国立歴史民俗博物館へ。途中、間違って佐倉市役所方向の坂を上がってしまい20分程遠回りしたが、旧城下の趣をわずかに残す通りを歩けたのは、まあよかった。

館内は時節柄感染症対策が取られている。入館時間帯が表示されたリストバンドをつけさせられた。しかし、時間帯別に入館予約して来ているのに、会場で名前と連絡先を記入させる必要はあるんだろうか。予約システムは人数カウントにしか使っていないということか。

企画展示の「性差の日本史」展に。評判らしいので見たかった。

昼は佐倉駅前まで戻ってカレー。日替わりのチキンとオクラのカレー。ナンをおかわり。

バスでDIC川村記念美術館に。これも予約制。

現在開催中の「ふたつのまどか」展が目当てではあるけれど、この季節だから紅葉を見たいという心積もりもあった。紅葉した木は庭園にそれほど多くはないが、何本かの木はやはり美しい。少し時期が遅いくらいだった。

現状、京成・JRの佐倉駅と美術館との連絡バスが一日二便しか運行されておらず、美術館には二時間ほどしか滞在することができない。今日はそのうち30分余りを庭園の散策に費やしてしまったが、展示も見ごたえのある好企画だったので、もう少し時間があればと思った。

京成佐倉に着いたら、京成線のどこかで事故があったらしく、ダイヤの乱れや一部運休が発生している様子。ユーカリが丘にあるらしい温浴施設にも食指が動いたが、今日のところは途中下車せず直帰が無難なようだ。押上まで快速一本、その後歩いて帰った。15,498歩。

変身

辛うじて8時に目を覚まして空き缶出し。確かに昨日より肌寒い。洗濯二回。

かかりつけ医に電話。来週受ける予定のインフルエンザの予防接種の可否について、念のため確認。ぜひ受けるようにと勧められる。

午後から外出。快晴。風が強い。

駅まで歩く途中に、大きな蛙が潰れて死んでいるのを見た。車に轢かれたのか、これがホントのヒキガエル、という駄洒落はともかく、この季節に蛙を見るのは珍しい。蛙の種類にも生態にも明るくないので、ヒキガエルだったかどうかは知らない。

半蔵門へ。駅上のサンマルクカフェで遅昼がてら休憩。しばらく居座ってから国立劇場へ。

この時期の国立劇場の前庭は少し寂しい。紅葉する木があってもいいのにと思う。花をつけている木も少ない。辛うじて見つけた花は白地に薄桃色が差すのが美しい。

国立劇場十一月歌舞伎公演の第二部を見る。『彦山権現誓助剣』の六助役は片岡仁左衛門丈。三階席。

『彦山権現誓助剣』の六助は、お年寄りと子供に優しく、お人よしなところがあるけど、明るく強い正義漢。ちょっと変身ヒーローみたいだと思った。

終演後はまっすぐ帰宅。ぼんやりしていたら遅くなった。夜の散歩に。

いつもの銭湯に。もう仕舞湯が近い。14,715歩。

狐育て

巣ごもりの予定だったが変更して外出。曇り空。ラジオの天気予報では、朝晩は所により雨になるようなことを言っていた。

朝は喫茶店のモーニング。トーストとゆで卵とコーヒー。 

昼飯は煮干しラーメンというもの。河岸を変えてコーヒー。

アートトレイスギャラリーへ。中谷真理子さんという作家さんの展示。

展示タイトルの「みんなの孤育て広場」を、最初「狐育て」と読んでしまった(昨夜歌舞伎座で狐忠信を見たせいもあるだろう)。

孤独な育児のことを「孤育て」と言うらしい。タイトルから社会批判的な展示かと思うと、むしろおおらかな内容だった。しかし、未婚で子供もない私には、女性が母親となることに向かい合えていないことを見せつけられるようではあった。

この後もう一ヶ所寄り道しようかと思っていたけど、急に疲れが来て取り止め。京葉道路沿いの古い構えの洋食屋に入ってカツカレーを食べた。中は思いの外広い。これまで入ったことがなかったのを少し後悔した。

錦糸町まで歩いたら汗になる程。

上の写真のビルはもうすぐ取り壊しらしい。ビリーザキッドには一度も入らずじまい。下の写真の取り壊し跡は、松屋やテレクラが入っていた建物があった場所だろう。外からは古い喫茶店だったように見えた。

疲れを取ろうと楽天地スパに。結構客が入っている。が、一時のように、若い客の騒ぎ声が気にならなくなったのは、マナーが落ち着いてきたのか、こちらの耳が慣れてしまったのか。

12時まで居残って退館。夜も雨にはならず。思い切って錦糸町から歩いて帰った。

10,808歩だが、この歩数には日付が変わった後の分はカウントされない。

祝祭的

今日も暖かい。これなら薄手のジャケットでもよかった。

朝はドトールのモーニングセット。昼はからあげ定食的なもの。その後コーヒー。

本所吾妻橋駅まで歩いて、浅草線で東銀座へ。歌舞伎座の「吉例顔見世大歌舞伎」の第四部「義経千本桜 川連法眼館」を見る。

実は、歌舞伎座で歌舞伎を見るのは今日が初めて。当代の建物だけでなく、建て替わる前の古い歌舞伎座の中に入ったこともない。意外と思われるかも知れないが、私は歌舞伎公演はもっぱら国立劇場で見るばかりで、国立劇場以外で伝統歌舞伎を見たのは、新橋演舞場と京都南座で一度ずつある限りである。

なぜ歌舞伎座に行かなかったというと、理由は簡単で、切符の値段が高いから。もし私が学生の頃に歌舞伎に触れていたら、平日の一幕見席に並んでいただだろうけど、今はそこまでの気力もないし、時間もない。

では、なぜ今回初めて行くことにしたのか。気まぐれでということにしておきましょう。特段の理由はありません。

劇場の中に入って第一感、案外小さいんだなと思った。国立劇場大劇場に見慣れていると、舞台が小さく、天井が低く感じる。そして、場内が白々と明るい。まるで天井から採光でもしているみたいだ。これだけ雰囲気が違うとは思わなかった。国立劇場で歌舞伎を見る時は、何か儀式に立ち会うような荘重な気分になるが、歌舞伎座はどこか浮き立たせるようで、ぐっと祝祭的である。国立と民間の違いだろうか。

東銀座から浅草線で押上に。押上から歩いて帰った。

一休みして夜の散歩に。遅くなってしまったので、急ぎ足でいつもの銭湯に向かう。

外が暖かいせいか、普段に増して水風呂が気持ちいい。風に吹かれて帰り道を歩く。13,113歩。

秋葉様

巣ごもり日。洗濯機を回して朝の散歩に。

まだ朝顔が花をつけている。もう11月も半ば過ぎなのに、昔から朝顔はこんな時期まで咲いていただろうか?

そう思って調べると、どうやら朝顔は朝顔でも、ノアサガオという種類らしい。南西諸島では自生しているというので外来種とは違うのだろうが、少なくとも私の子供の頃に見た記憶はない。南方の産だけあって、さすがに東京よりは冬の気温の低い北陸には繁茂していなかったのではないか。国立劇場の裏の伝統芸能情報館の壁に盛大に蔓を伸ばしているのは、きっとこの種だろう。

昼間、巣ごもりから少し抜け出して、近所の秋葉神社に。毎年11月17・18日の大祭では火伏せの御札が配られるので、日程が合えばなるべく伺うようにしている。今年はコロナの影響で夜の縁日が行われず、昼間だけの配布になった。

ところで秋葉神社の火伏せの御札といえば、落語の「牛ほめ」である。台所の柱の節穴の上から秋葉様の御札を貼れば、穴が隠れて火の用心になる、というやつ。

落語の中の秋葉様はどこだろうか。この向島の秋葉神社だったらいいなとは思うが、もともとは上方の噺だし、秋葉神社という名前の神社は全国に千余りもあるらしい。その中には、秋葉原の地名の由来になったという台東区の秋葉神社もある。どのへんだろうと地図を見ると、いつもの散歩道から遠くない。今度足を伸ばしてみよう。

夜の散歩に。街灯の光がいちょうの黄色い葉を透かして美しい。

いつもの猫の他に、毛がふわふわの見慣れない猫が出てきた。16,413歩。

SOS

朝はドトールの持ち帰り。昼はオムライスのようなもの。

錦糸町駅近くのビルの1階の以前歯医者だったところがカフェになっていた。まだ本格開店前で営業時間も短いようだが、いずれ入ってみよう。

諸事情で某所。帰宅して夜の散歩に。

考えすぎと言われればそれまでなのだが、他者へのルサンチマンで鬱屈した気持ちが刺々しい言葉になって出てしまう。そんなことは口にしなければいいのは分かっていた。

久し振りに白鬚橋まで歩いた。スカイツリーがSOSを受信するアンテナのように見える。

今日は火曜日だからいつもの銭湯は休みで、第二候補は11時で閉店だから、ゆっくり歩いているわけにはいかない。何とか間に合った。

16,519歩。いつの間にこんなに歩いたんだろう。

もみ返し

朝はコンビニのサンドイッチ。昼はとんこつ風ラーメン。

予報どおり暖かい。昼間少し歩いたら汗ばむ程。コートは無しで正解。

東京を東から南西に通り抜けて、用件を済ませて、また同じ経路を引き返して帰宅。

もしかしたら昨日のタイ健式が今になって効いてきたのかも知れない。もみ返しというやつ。思いの外早く帰れたけど、適当に飯を食べたら気力が切れて、夜の散歩は省略。そのまま早寝した。

9,236歩。途中でスマホが電池切れになったから、実際は1万歩は行ってたはず。