痩せ話 その2

どうして痩せようなんて思ったんだ、さてはコレだろ(小指を立てながら)、と言った人もいたが、残念ながらそういう色っぽい話ではない。
実際は、もっと現実的な話で、要するに、去年の洋服が入らなくなったのだ。
ぼくは割とスーツを着るのが好きで、だいたい毎シーズンに1、2着は買っている。
今の職場も、ほんとうはカジュアルな格好でもいいみたいだし、また基本的に内勤だから、外部の人と会う機会もそんなにないのだけど、それでも毎日スーツを着て出社している。
スーツを着ると、いかにも自分がサラリーマンだ、という感じがしていい。
ちょっと倒錯したような言い方だけど、まあ、ぼくの頭のどこかに、給与生活者としての自分を突き放して見ているところがあるのだろう。また、今の仕事内容が、およそ世間一般のサラリーマンらしくないということもある。
何よりも、スーツは制服みたいなところがあるから、着るものにあまり頭を使わなくて済むのがいい。スーツ、シャツ、タイ、靴とベルト、このへんの組み合わせをちょっとずつ変えていけば、それなりの格好はつく。これが私服だったら、何を着ていこうか毎朝悩んで出社が30分以上遅れることだろう。
それにぼくは、サラリーマンのカジュアルスタイルというのがどうも嫌いだ。まわりを見ていると、休みの日におじさんがゴルフに行くような格好をしている人が多い。
いくらカジュアルといっても、例えば襟付きのシャツを着たり、ちゃんとベルトを締めてシャツをパンツの中に入れたり、といった程度のコードは(不文律にせよ)ある。Tシャツに短パンにサンダルという格好ではよろしくないわけだ。
でもぼくは、どうせカジュアルというなら、そこまですればいいのに、と思う。それができないのなら、むしろ、きちっとスーツにネクタイ姿、というのがいい。スーツならスーツ、カジュアルならカジュアル、ちゅーとはんぱやな、ということだ。
話がだいぶ脇道にそれてしまった。
シーズンごとにスーツを買っていると書いたけれど、それは別におしゃれとかそういうことよりも、去年買ったスーツがきつくなっているからだ。毎回、衣替えの季節になると、そういう事実に直面する。
ぼくは新宿の伊勢丹でスーツを買うことが多くて、10年近く顔なじみの店員さんもいる。
別に高級ブランド品やオーダーメイドのスーツを買うわけでもなく、ぼくの手の届く範囲などたかが知れているが、それでも、いつもの売場に顔を出すと、すぐにお奨めの品物を出してサイズを合わせてくれる。ネームの刺繍やパンツの裾の折り方といった細かい希望も、全部承知の上だから、余計な手間がかからない。
今思うと、それも良くなかったのかも知れない。量販店に行って既成のサイズからいちいち選んでいくとなると、おのずと自分の体型の変化を意識せざるを得ないのではないか。
ひらきさんは量販店でスーツ買っちゃいけませんよ、なんて言われていたけれど、それはもちろん営業トークもあるだろうけど、実際問題として、量販店の既製服のサイズには収まりきらない体型になっていたのだ。
だんだん露悪的な話になってきたぞ。