吾妻橋から

岸にあがった花火

クリアケースにはりついたナフタリンの結晶が、小さな翼のように見える。
靴と見えたのは仮の宿りか。少し目をそらすと、いっせいに無数の翼に分解して、飛び去ってしまう。そうはさせじと箱の中に閉じ込めているが、いつまでこうして押さえ込んでいられるのやら。
散り散りになった翼は、空に溶け去り、すでにその輪郭も不分明だが、いずれまた次の宿りに羽を休めるのだろう。ちょうど隅田川から塩の結晶を取り出すように。

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