ぎりぎりまで朝寝。ゴミ出しの足でコンビニに朝飯を買いに。洗濯二回。

フィル・スペクターの訃報が朝刊に出ていた。「受刑者」という肩書が付くのか。

日本だとフィル・スペクターの名前は音楽好きの間でも知る人ぞ知る、という程度だろう。さもなければ、「受刑者」とあるように、殺人事件の関係でスキャンダラスに取り上げられるか。私だって詳しく知っているわけではない。Facebookに佐野元春氏が真率な追悼文を上げているのをちらりと見た。

ところが、BBCのインターネットラジオでは、フィル・スペクターの訃報は30分毎のニュースヘッドラインでトップ級の扱いである。むろん殺人事件への言及は伴うにしても。

仕事の種類は違うが、日本でも昨年の筒美京平、なかにし礼といった大衆音楽の世界で活躍した音楽家の訃報は、トップニュースかそれに近い位置づけで扱われたことを思えば、英米においてフィル・スペクターは、両氏に相当するような大衆性を備えた存在として認識されているのだろう。日本での好事家の趣味の対象といったイメージとの違いに戸惑う。

では、話を逆に考えて、英米で筒美京平やなかにし礼の訃報はどのように扱われたか。念のためBBCとCNNのサイトで検索してみたが、それらしい記事はヒットしなかった。

この頃とみに思うのだけれど、外国語がわかる、わからない、ということのかなりの部分は、フィル・スペクターを、あるいは筒美京平を、知っている、知らない、ということに行きつくような気がしている。

昼間抜け出す。

向島百花園の近くのパン屋で調理パンを買って、昼飯にした。家を出る時は、そんなにお腹は減ってないなと思っていたのに、えてしてこういう店では、あれこれと買いすぎてしまう。

百花園は先日から休園中だが、児童公園ではすでに梅の花が香りを放っていた。

所用を終えて夜の散歩に。今夜は風が出ている。

隅田川テラスを歩いて、白鬚橋を渡った。いつもなら汐入公園あたりまで足を延ばすところだが、今夜は風の冷たさに気が萎えてしまう。散歩は早々に切り上げて、冷え切った身体を風呂で温めたい。

火曜日は馴染みの銭湯は休業日だし、今夜は久し振りにYDBことS湯に行くつもりだった。ところが、普段通らない道を歩いてS湯を目指していたら、目の前に初めての銭湯が現れた。調べると水風呂がないようなので迷ったが、ここはすぐにでも身体を温めたいので、予定を変更して目の前の銭湯に入ることにした。

見事に空いていた。浴室に入ると先客は二人。それも次々に上がって、私ひとりになった。

浴槽は二つのみ。広めのやや浅い湯舟と、深めで気泡がぶくぶく言っている湯舟。どちらのお湯も緑色である。お湯の色を見れば昔ながらの入浴剤のようだが、「玉露・カテキン配合」という札が掛かっていて、そう言われればお茶の匂いがしなくもない。

まず広い湯舟に入った。最初は熱めかなと思ったが、身体が冷えていた分、熱く感じたようだ。しばらく浸かっていたら熱さにも慣れてきた。

建物は古いようだが中はきれいに保たれている。サウナも水風呂もないが、時代に阿らない感じはむしろ好ましい。何よりも空いているのは高得点。

緑のお湯や、これといった装飾のない浴室からは、学生時代に住まっていた寮の風呂を思い出すようでもある。ただし、寮の風呂はどことなく薄汚かった。比べるまでもなく、この銭湯はずっと清潔である。

別の客が入ってくる前に上がった。

温まった身体が冷えないよう早足で帰った。12,147歩。

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