うちから谷中界隈に行くのに、今までだったら上野駅の公園口から歩いて出かけていた。
そうすると、秋葉原で乗り換えはしなきゃならないし、結構歩くしで、なんとなく腰が重いことだと思っていた。直線距離は近いはずなのに。
過日、ふと思い立って、うちから自転車で出かけてみたら、案外簡単に着いたので、なあんだ、前からこうしていればよかったんだと少し後悔した。
自転車で行くときは、別にどういうルートでもいいんだろうけど、なんとなく吾妻橋で隅田川を渡って、浅草の観音様の裏を通り、ひたすら言問通りを直進、根岸でJRの跨線橋を渡ると、急に周りの空気が一変するような気がして、谷中の界隈になる。
根岸には三平堂の落語会に行くのにときどき出かけていたけど、鶯谷駅で降りて、会が終われば大抵そのまままっすぐ帰るから、根岸という場所をいわば点でしか認識していなかった。それが、ぼくの頭の中で、浅草から根岸、谷中が言問通りという線で繋がったのは、結構新鮮なことだった。
Wikipediaによると、言問通りとは、文京区の本郷弥生交差点から言問橋までに至る道路のことをいうそうだ。地図で見ると、ちょうど鶯谷のあたりが中間地点になるのだろうか。
さて、この「言の聞え」というアート・プロジェクト、「台東・言問通り現代美術展」とうたいつつ、実際には言問通りの西半分しか対象にしてないように見える。
むろん、谷中界隈の古きを残し文化の薫り高い街並みを賞賛するのにやぶさかではありませんが、跨線橋を渡った向こう側、鶯谷駅前のワイザツさもなかなかのものですよ。いや、このあたり、私もまだまだ修行が足りませんが・・・。
それでいて、言問通りからちょっと奥に入ると、週末の観光客相手ではない、生活感のある静かな商店街にぶつかったりして、ほうほう、と思うのです。
要はこの小文で何が言いたかったかというと、言問通りの東半分も忘れないでね、という、日ごと「裏浅草」に心引かれていく墨田区在住者からのささやかなお願いごとなのですよ。
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『サスティナブル・アートプロジェクト2006 台東・言問通り現代美術展 「言の聞え」』
会場: 東京都台東区上野空き地、旧平櫛田中邸、間間間、谷中のお稽古場、旧吉田屋酒店前広場
スケジュール: 2006年10月27日 〜 2006年11月12日