とりあえず今年も大過なく過ごしましたな。
年の瀬も押し詰まってくると、自分で自分を褒めてやりたくなる。
そこで、自分へのご褒美とばかり、うまいものを飲み食いしに出かけることにした。
といっても、近くの居酒屋だが。
燗酒を頼むと、お通しに、ぎんなんを煮てあんをかけたようなものが出てきた。こんな食べ方があるのか。あんもあっさりとして上品な味だ。
黒板の品書きを見て迷う。それほど早い時間ではないのだが、まだどれも品切れになっていない。白子焼き、筍焼き、いわしつみれを頼んだ。
しばし、ぎんなんで酒を飲んでいると、注文した3品がほぼ同時に目の前に並んだ。しまった、これならもう少し時間差で頼めばよかった。
いわしつみれは、想像していたのと少し違った。直径2センチ位の小さなつみれが、深いお茶碗のような器の中にいくつも浮かんでいる。それを蓮華ですくって、ぽん酢醤油のたれをつけて食べる。熱々のつみれに歯を立てた瞬間、口の中でとろける食感に唸った。
筍は外側にしょうゆでも塗って焼いたのか、筍そのものの風味とあいまって香ばしい。
白子焼きは、去年も今ぐらいの時期にこの店で食べた気がする。かぼすをしぼって口に運ぶと、ほのかな塩味を感じる皮が口の中でぷちりとはじけて、濃厚な中身が流れ出す。やはりうまいのだが、こういったものは、一度にこんなにたくさん食べるものではないとも思う。ぼくひとりなら、この半分の量でよかった。しかし、それでは値段が付けづらいだろうと思うくらいの値段だ。
目の前の料理を片付けるにはお酒が足りないので、もう一本お願いする。そのうちに料理は片付いたが、今度はお酒が余る。ではもう少し食べることにして、まずは箸休めに、煮昆布というのが手ごろな値段だったのでそれを頼むと、これがまた結構な量で、それを片付けるのにもう一本お酒が必要になる。 結果、当初の想定を超えて、かなり酔っ払ってしまう。
相変わらず、バカだなあと思う。こうして年も暮れていく。