雨が降り出した午後

いやあ、こういう企画もあるんだ。
何人ものキュレーターが、ひとりひとり、自分の名前を正面きって出して、作品を選んで、展示する。
ある意味、真剣勝負ですよね。ごく限られたスペースで、写真についての学識、自らの写真観、審美眼・・・。そういった自分と写真に関するもろもろを、自分ひとりの責任で開陳することになる。しかも、まわりは、みんなライヴァル。
逆に、スペースも作品数も限られているからこそだろうが、見ている分には、その人なりの企画意図やメッセージがまっすぐに伝わってきて、どの人も展示も結構面白かった。


以下、印象に残った展示のメモをいくつか。
セバスチャン・サルガドという人の写真。
なんて詩情あふれる写真だろう!
が、こういうアフリカ難民の写真に、詩情あふれるって言っていいのかわからないけど。悲惨だけど、美しい。ていうか、悲惨、かつ美しい。そういうのもあるんだ。
同じ写真家の<Workers>と題されたシリーズ。まるで岩肌と同化したかのような人たち。動きがあるはずなのに、動きがない。というか、写真ってそういうものなのか・・・。
写真の本質とはなんだろう?
「(写真の表現とは、決して絶対的なものではなく)その作品が発表される時代や場所、目的などによって自在に変容する」
写真家は、焼きの調子やトリミング、あるいは作品のタイトルなどを自ら変えて、写真を発表することがある。というか、それこそが写真の本質だという。
ちょっと、蒙を啓かれた思いだ。
コラージュしたものと、コラージュしたものを複写した写真。
確かに、生々しさは、明らかに前者にある。
思うに、前者は含まれている時間が濃い。その分、作者の時間を追体験できる。
後者になると、時間の成分はかなり捨象されてしまう。それが写真だろうか。
NASAの宇宙飛行士たちが、月面で撮った写真。
そして、月面着陸捏造説をとなえた、キューブリックの「2001年宇宙の旅」。
「どちらも、地上にいる者の宇宙体験を刷新したという点で同様にリアルだと思う」。
なるほど!
* * *
キュレーターズ・チョイス07 「対話する美術館」
会場: 東京都写真美術館
スケジュール: 2007年08月11日 ? 2007年10月08日
住所: 〒153-0062 東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内
電話: 03-3280-0099 ファックス: 03-3280-0033

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