内田百閒の東京物語の中に、巨大な鰻が真夜中の皇居のお堀から出てくる話があったけれど、井上有一の書を見ていて、不意にその鰻が目の前に現れ、黒光りする身をどたりと横たえたように思われた。それは死体ではなく、まして魚拓でもないのだった。そして鰻が時に笑い、憤り、生殖しているのだった。

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