この展覧会には、「夢みる世界」とサブタイトルが付いているけれど、夜、ベッドの上で、幸福につつまれて見るものばかりが夢とは限らない。
悪夢かもしれない。白昼夢なのかもしれない。
world’s end girlfriendの音楽が似合いそうな夢だ。


キャンバスの中の都市の風景に幻視が入り込むのを見る。
一見、東京やニューヨークと思わせるが、果たしてそうか。
それは、現実の東京(ニューヨーク)をカット・アップして現れた、もうひとつの都市ではないか。
ガラスケースに収められた作家のデッサンや写真の切り抜きを見れば、キャンバスに定着したイメージは、決して、作家の眼前に突如として現れたものではなく、緻密な計算のプロセスを経て制作された作品であることが分かる。
作家は、まるで自分は静かに醒めながら、夢幻の物語をつむいでいるようだ。
ベッドで見残した夢をただ書き取るのではなく、アトリエで、キャンバスに向かいながら、夢の風景を構成するのだろう。
架空の都市に立ち上る幻視には、美しさと野蛮さとが必然的に共存しているようだ。
* * *
大岩オスカール 「夢みる世界」
会場: 東京都現代美術館
スケジュール: 2008年04月29日 ~ 2008年07月06日
5月5日(月・祝)は開館
住所: 〒135-0022 東京都江東区三好4-1-1
電話: 03-5245-4111

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