関根恵子じゃなかった高橋惠子を見た(着いた時間が遅かったのでギャラリーツアーは参加しなかったけど)。
オルガノラウンジも見た。彼らのライヴは5月のアサヒ・アートスクエア以来。こないだはMOTでもライヴをやっていたし(そのときは時間が少し合わなかったのでパスしたが)、なんだかしょっちゅうあちこちで彼らがライブをやってるのに出くわす気がする。
今回は、5月よりも心おだやかに楽しむことができた。なぜあのときはあんなに気持ちがざわついていたのだろう? アネット・メサジェの展示を見た後で、というのがちょうどよかったのかもしれない。一種のチルアウトさせるような効果があったというか。


前回も松本力さんの突然のエキセントリックなパフォーマンスには度胆を抜かれたが、今回もこんな場所でやるとは思わなかった(高橋惠子はもう帰ってたのかな?)。ここに至って、オルガノラウンジにとって、松本力さんのヴィジュアルワークだけでなく、その存在自体が切り離せないものであることを理解した。
ということで、映像を見ながら放心しつつ耳に入れるオルガノラウンジの音楽は、そのうちにこちらをどこかに連れて行きそうな感覚を催したのだが、残念ながら、CDで音だけ聞くとその感覚は再生困難なのだよね。CDだとヴォーカルが前に出すぎなのかもしれない。そうなるとバランスが別のものになる。
まあいいや、やっぱりしょっちゅうあちこちでライヴやってるみたいだから、またどこかで出くわす機会もあることでしょう。
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アネット・メサジェの展示は、こちらの胸の中にある黒板に爪を立てて不穏な音を立てるように、心をかき乱すものだった。
展示室冒頭の小鳥(スズメ?)を使った作品からして、ぼくは不穏な気持ちになる。
これは愛と残酷さを表すものかと思う一方で、むしろ愛の残酷さというべきではないかと思い直す。これを、女性の、あるいは母性の残酷さと敷衍してよいものやら。
作家は女性の側に立つそぶりを見せる一方で、意図的にか、そうでないのかはよく分からないが、少なくともぼくは、彼女が取り出して見せる女性性が怖い。
わけのわからない、言語化困難なように心の中でうごめく情念を、すべての作品が分有しているように感じた。確かにプリミティヴ・アートと通じるような。あと、ボルタンスキーの名前を思い出した。
メサジェの展示を見たあとで聞くオルガノラウンジは、男だなあと思った。
マッチョ的な男性性からは相当遠いところにあるけれど、こういうのが男の音楽ですよ。と、ぼくは思う。
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アネット・メサジェ 「聖と俗の使者たち」
会場: 森美術館
スケジュール: 2008年08月09日 ~ 2008年11月03日
9月23日(火)は22:00まで
住所: 〒106-6150 東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー 53F
電話: 03-5777-8600
「MAMCウェルカムパーティー」
日時: 2008年8月26日(火)19:00~22:00
場所:森美術館(森タワー53階)
《対談ギャラリーツアー「アネット・メサジェが紡ぐ、生の多面性」》
出演:高橋惠子(MAMC名誉会員/女優) 逢坂恵理子(森美術館アーティスティック・ディレクター)
開始時間:19:15~(約60分間)
《オルガノラウンジ+松本力 ライブパフォーマンス》
開始時間:20:45~
会場: 森美術館 ギャラリー1

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