茅場町の森岡書店にて、岡安圭子さんによる朗読会。
岡安さんは、昨年の瀧口展でも「詩的実験」のテクストを朗読されていた。
ぼくは、この方が他にどういう仕事をなさっているか知らないのだけど、まさか瀧口修造専門で朗読してるわけはないよね。おそらく他にも近現代詩の朗読をしている方なのだろうと思う。会場にはその業界筋(現代詩業界?)らしい方の姿がちらほら。

ぼくはその筋の人じゃないからよく分からないけど、ひょっとして詩壇の側から、瀧口さんの仕事を現代詩史に取り込もうとする動きが現れているのかなと思う。
瀧口さんの生前は、同時代の詩壇からは、あの人は美術業界の人、あるいはなんだかよく分からない人、というような位置づけをされていたのではないかと推察するのだけど。
最近は若い美術作家は瀧口さんのことをよく知らないみたいだし、現代美術の世界からは瀧口修造はだんだん忘れられた存在になってきて、かたや詩壇からは再評価されてきているとしたら、これは面白いことだと思う。

岡安さんが読んだのは、「詩的実験」からは「LINES」、「花籠に充満せる人間の死」そして「絶対への接吻」から数篇。
意外だったのは、「詩的実験」以後の戦前の詩作品からも取り上げていたことで、正直、このへん、私はノーチェックでした。家に帰って「コレクション瀧口修造」の戦前・戦中篇を読み返そう。
今月上梓された詩誌「洪水」第6号の岩崎美弥子さんの論考の中で、1939年の瀧口の「カヒガラ」という詩を取り上げている。こんなリリカルな詩作品もあったんだなと興味深く読んでいたところ、さっそく岡安さんの朗読で聴く。
岡安さんの読みは、間を丁寧にとって読まれていると感じました。
ぼくにとって「詩的実験」のテクストの誘引力のひとつはその疾走感で、咀嚼する余裕が与えられないうちに次から次にテクストが押し寄せてきて、暴風の中で体にバチバチと当たる感覚。
今回は、そういう快感は薄かったかな。
ただ、「花籠に・・・」の冒頭だったか、ずいぶん大胆に間をとって読まれているのには驚いた。なるほど、こう来たか、という感じ。それなら、いっそ思い切って、自由自在に解釈してもいいかもと思う。もっと長い空白を入れたり、緩急を加えたり。
だから、これはこれとして、違う読み手の違う解釈があってもいいよね。音と合わせたりしてもいいと思う(実際、今回も、外のボートのエンジン音が闖入したりしていたけど)。

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瀧口修造 「デッサンする手」
会場: 森岡書店
スケジュール: 2010年06月28日 ~ 2010年07月10日
住所: 〒103-0025 東京都中央区日本橋茅場町2-17-13 第2井上ビル305号 森岡書店
電話: 03-3249-3456

関連イベント
「瀧口修造の詩的実験」朗読会(岡安圭子)
7月10日(土)19時開場 19時30分開始