レベッカ・ホルン展をめぐるモノローグ
文字が(水面に書かれるやいなや)(光となって/光とともに)揮発すると見える。
あるいは水蒸気が文字の支持体となっているのか。
(水蒸気はそれ自体で目に見えるものか、否か?)
さもなければ、光が実体となって、文字を映すような・・・。
船頭が水に掉さすように、文字が流れる。あるいは、文字の流れに棹をさす。
黒い水面を見つめる少女。
さあ、「青ずんだ鏡のなかに飛び込むのは今だ」!
むしろ船頭は棹で水面に文字を書くと見よう。
書家は(巨大な)硯の上で筆に墨をふくませる。
これから書かれようとする文字を充填するように。
筆先に触れただけで破裂しそうだ。
(破裂する瞬間、文字があふれ出す!)
その文字はどこから現れたのか。
流れの中に、文字はすでに仕組まれていたのか。
あるいは、まったくの謎として文字は訪れるのか。
いずれにせよ、ぼくの目の前で、巨大な金色のペンが動く。
「それは正午、巨大な眼、ぼくのペンはピサの斜塔のように異様な均衡を保ちながら動きだす。」
これらの文字は幻影なのか?
巨大な硯の周辺を文字が取り巻く。
(これは書かれなかった文字?それともこれから書かれようとする文字?)
「書かれなかった無量の紙片をあとに 詩人は壊われた指をもつ。」
永遠に書かれる(紙の上に置かれる)ことのないペン。
不意に、文字に触れるのか?という疑問。
「そして、かすかに、聞こえたような気がする。『絵にふれる、気がふれる』と。」
すべてが鳥・・・。
円環軌道を描く鳥。
宙吊り(逆さ吊り)にされたピアノ。
放電現象が起こるのは、そこに「未踏の距離」があるからだ。
決して接することのない二つの端子の間に青い電流が走る。
それはカラスの羽根がガチョウの卵に触れることと同じくらい不可能な夢であった。
その不可能な夢を永遠に繰り返すプログラムされた運動である。
* * *
『 レベッカ・ホルン 「静かな叛乱 鴉と鯨の対話」』
会場: 東京都現代美術館
スケジュール: 2009年10月31日 ~ 2010年02月14日
11月23日、1月11日は開館、11月24日、12月28日~1月1日、1月12日は休館
住所: 〒135-0022 東京都江東区三好4-1-1
電話: 03-5245-4111
