森美術館で開催されている「クサマトリックス」展と「六本木クロッシング」展を見てきた。
昨年、六本木森タワーの52、53階に森美術館がオープンしてから、つい先月まで開館記念の「ハピネス」展をやっていたけど、結局行きそびれてしまって、美術館自体に行くのも初めて。というか、六本木ヒルズに行ったのも初めてだったけど。
美術館に行くには、森タワーの脇にある入口から入るのだけど、この入口は美術館と同じフロアにある展望台「東京シティビュー」と共用になっていて、美術館に行く人も行かない人もみんな一緒にエレベーターで上がる。
感心したのは美術館の入館料の設定で、美術館のチケットは二つの展示共通で、しかも展望台の入館料込みで1500円、ところが展望台に行くだけでも1500円。
これなら、普段は美術に関心のない人でも、どうせ同じお金を払うんだったら、美術館のチケットのほうを買っとこうと思う。
実際、会場には美術館なんて初めてみたいな顔をしたお上りさん風の人も多かった。
特に草間展は観客が体感できる作品が多かったから、テーマパークみたいな感じで観客の歓声が聞こえる。
鏡張りの暗室の天井からたくさんのLED(あるいは光ファイバーかな?)をぶら下げて明滅させている作品は、横浜トリエンナーレで見たミラーボールの作品を思い出した。
そんな感じで草間展はさらっと流したのだが(正直言うと、もう少し見ごたえが欲しかったか)、もうひとつの「六本木クロッシング」のほうは、いやというくらい堪能した。
何しろ出展作家の数が57組、若手から大ベテランまで、それぞれが一点ずつ作品を展示している。それも映像作品や大掛かりなインスタレーションも多いから、ちゃんと見ていくとものすごく時間もかかるし足も疲れる。
せっかく滅多に来ない六本木くんだりまで出てきたんだから(つまりぼくもお上りさんの一人なわけだが)、ひとつひとつきちんと作品を見ていこうと思っていたのだけど、うっかり見過ごしたり、流してしまったりした作品もあったんじゃないかな。
でもこれは、絶対もう一回は見に来る価値があると思った。会期もまだ長いし。
作品の種類やコンセプトとかはみんなそれぞれで、キュレーターも複数いるらしいが、とにかくこれだけの数の作家を集めて、これだけの規模の展示を行うという、そのボリュームにまず圧倒された。
しかもそれを、いち民間企業の所有する美術館が開催するとは・・・。
そんなことを同行者に言ったら、いや、民間だからできるんだ、公立の美術館では絶対にできないだろう、と言う。なるほどそうかも知れない。
あと、この美術館のエライのは夜遅くまで開館していることで、週末など夜の12時まで営業している。確かにこれも公立の美術館にはできないだろう。
日がすっかり暮れる頃になっても、お上りさんも美術ファンも入り乱れて、館内にはお客さんが途切れない。
展示に疲れて窓から夜空を見上げると、赤黄色い満月が浮かんでいて、そのうちに、なんだか月まで作品の一部みたいに見えてくる。借景だね。

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