久しぶりに新宿の末広亭に行ってきた。
2月中席の夜の部の主任は春風亭小柳枝師、その他春風亭柳橋、昔昔亭桃太郎、笑福亭鶴光の各師などが出演している。
小柳枝師と桃太郎師といえば、去年の11月号の東京かわら版に、両師の師匠である春風亭柳昇師を偲ぶ対談が掲載されていた。
去年の6月に春風亭柳昇師が亡くなって半年余り経つ。
といっても、ぼくは生前の柳昇さんは寄席で2回ほど目にしたかどうか、というくらいで、偉そうなことはいえた義理じゃない。
世間的には春風亭柳昇といえば、ひょうひょうとして軽い人のように思われていたし、ぼくがたまたま見た高座でも、おなじみの「カラオケ病院」をやっているうちにわけがわかんなくなって、途中をやり直したことがあったのだけど、またそれが自然な感じで、お客さんも微笑ましく見ているという雰囲気があった。
こわもての人だと、なかなかああはいかないものだろう。
が、先のかわら版の対談で興味深かったのは、そういう軽さの面と共に、青年期を過ごした時代のせいもあるだろうし、ご本人の従軍体験のためでもあるのだろうが、結構おおっぴらに戦争を賛美する発言をしたりする、いわばタカ派的な、こわもての一面もあったということだ。
また、それがひょうひょうとした軽みと矛盾なく合わさっていたという。
さて、末広亭で桃太郎師は柳昇さんのまた違う一面を紹介していた。
柳昇さんは女好きで、自分が年を取っても相手は25くらいまでの若い子が好きだった。
例えばこんなことがあったそうだ。
春風亭昇太さんが楽屋に自分のつきあっている女の子を連れてきて、師匠の柳昇さんに紹介したことがあった。
それからしばらくして、昇太さんが楽屋にいると柳昇さんが入ってきて、おれの女だと紹介した女の子は、前に昇太さんがつきあっていた女の子だったという。
他にも、会う女の子女の子に電話番号を聞いて、デートの約束をしてもすっぽかされてばかりだから、3人まとめて同じ時間と場所で待ち合わせをしたら、誰か一人くらいは来るだろうと思っていたら、結局誰も来なかったという話。
桃太郎さんは、師匠の青春時代は戦争で女の子どころじゃなかったから、それでいつまでも若い女の子が好きなんだろう、なんて言っていたけど、そしたら今80歳くらいの人はみんなそういうことになっちゃうんじゃないの。いや案外そうだったりして。
まあ、桃太郎さんの話も、当然デフォルメして言ってるんだと思いますが(あるいはそうでもないのか)、とにかく柳昇さんが女好きだったのは確かなんだろう。
そういえば、柳昇さんには女性のお弟子さんが何人かいるけれど、それもそういうことなのかなあ。