気がついたら9時半。寝坊した。目覚まし時計が鳴ったのに目が覚めなかった、ということはよく眠れているのか。慌てて洗濯機を回す。

駅までの道すがらにトンボが低く飛ぶのを見かけた。今シーズン初。梅雨が明けて夏が来たばかりで、秋の気配を感じるのも可笑しい。

浅草演芸ホール八月上席昼の部に。この席は落語芸術協会の番組。そして、大喜利として芸人によるデキシーバンド「にゅうおいらんず」のライブがある。「にゅうおいらんず」のライブを見るのは私は今回が初めてのはず。もう十何年も続いている毎年恒例の興行なのに、どうしてこれまで見逃してきたかねえ。そして、バンドの生演奏を聞くのは今日がコロナ後初めて。図らずも、音楽家の演奏より先に、落語家の演奏を聞くこととなった。

開口一番
桂壱福「狸札」
神田子太郎「越ノ海勇蔵」
前座さんが二人続けて口演。壱福さんは米福門下、いかにも前座さんらしい訥々とした語り口に却って好感が持てる。講談の子太郎さんは陽子門下。
落語 三遊亭遊かり「寄合酒」
漫才 母心
ボケ役(嶋川武秀さん)が着たスーツが、赤銀色?の生地で鮭の皮みたいだと突っ込まれる。またこの人が歌舞伎好きが高じて日本舞踊の名取を取ったということで、日常のシチュエーションに義太夫と歌舞伎ふうの所作を持ち込んで笑わす。
落語 立川吉幸「真田小僧」
寄席の客は口が固いらしい。こまっしゃくれた子供が書いた学校寄席の感想文からの「真田小僧」の前半まで。
落語 橘ノ圓満「金明竹」
何と言うか、独特な髪形の人。「金明竹」は前半まで。「どうしておじさんと猫を一緒にするんだ」「だっておじさんいつも猫かぶってるんだもん」でサゲ。
漫談 ナオユキ
庶民のささやかな生活の一幕を哀感を込めて語る。密かに人間観察をしているのだろうか。
落語 桂米福「ぜんざい公社」
田舎町に滝を見に行った男が、帰りの電車の時間待ちに「町営ぜんざい会館」に入ったところから物語が始まる。
落語 三遊亭遊之介「浮世床」
与太郎の蝋燭の火を消す戦争ごっこ、王様のいない将棋。
音曲 桂小すみ
端唄「さわぎ」「さつまさ」に続いて、ジョビンのボサノバ曲「ウェーブ」とは寄席らしからぬ選曲だが、この人はもともと東京学芸大学音楽科出身の洋楽畑とか。
落語 瀧川鯉昇「蛇含草」
座布団に座ってから、口を開くまでが鯉昇さんの間。時節柄の扇風機やかち割り氷のまくらを振ってからの「蛇含草」。餅の食い方で鯉の滝登りの芸当。食いすぎで下を向けず、下駄が見えなくなった男に隠居「履き物はここにあるよ」、男が胸のあたりを指して「吐くものはここにもあります」でサゲ。蛇含草は食べない。
落語 古今亭寿輔「猫と金魚」
寿輔さんを聞くのもずいぶん久しぶり。派手な黄色い着物姿はお馴染み寿輔さんなのだが、こんなに客席をいじる人だったかなあ?たまたま三列目の真ん中の席に熟睡している客がいたということもあるけど、その客をネタに高座から他の客に話しかける。大ベテランの噺家さんに失礼ながら、かつての高座からは神経質な印象も受けたものだが、ずいぶん肩の力が抜けたように見えた。「猫と金魚」は、金魚をすっかり食べてしまって金魚鉢の中に入った猫に、内視鏡で猫の腹の中の金魚を見ればいいという奇想天外なサゲ。

落語 三遊亭遊馬「たがや」
たがやを無礼討ちにしようという馬上のお侍に対して、居直ったたがやの啖呵に胸がすく。
漫才 宮田陽・昇
落語 春風亭柳橋「やかん」
落語 春風亭昇太「短命」
曲芸 ボンボンブラザース
客席から飛ばしてもらう帽子がなかなか頭の上に乗らない。また見当違いの方向にばかり飛んで行って笑いを誘う。まさか仕込みってことはないよね。
落語 三遊亭小遊三「野ざらし」
笑点の元色男キャラ、現泥棒キャラの小遊三さんには、この下心丸出しの能天気な男がはまっているかも。
大喜利 「にゅうおいらんず」

今回の「にゅうおいらんず」のメンバーは以下のとおり。
トランペット:三遊亭小遊三
トロンボーン:春風亭昇太
ギターバンジョー・司会:春風亭柳橋
ピアノ:桂小すみ
ベース:ベン片岡
ドラムス:高橋徹
アルトサックス:金子礼
ちなみにベン片岡さんは芸協事務員。高橋徹さんは本職のジャズミュージシャン。金子礼さんは若干19歳、親子二代のジャズミュージシャンとか。
もともとサックスはミーカチントさん(浅草ジンタにいた人らしい)が演奏する予定だったのが、コロナ禍で実家の富山から出てこれなくなったため、急遽この金子礼さんが参加することになったそう。確かに表の看板はミーカチントさんの名前のままになっている。金子礼さんが19歳の紅顔の青年ということで、小遊三師がこの場にいない桂文治師をネタにいじることいじること。

しかし今日の出演者は富山づいている。桂米福師は富山市出身、母心の嶋川氏は高岡出身らしい。そしてこのミーカチントさんも。

本日の演目は以下のとおり。
「タイガー・ラグ」
「私の青空」は、昇太師が歌唱。
「初恋によろしく」は、オリジナルは西郷輝彦が歌ったらしいが、小遊三師が歌唱。
「セントルイス・ブルース」
「聖者の行進」

都合6時間近く、浅草演芸ホールの椅子に座っていたらお尻が痛くなった。

寄席ではどうしても落語協会の番組を聞く機会が多く、落語芸術協会の噺家さんは正直馴染みが薄い。でも、今日昼席を通しで聞いてみて、「猫の金魚」「ぜんざい公社」などはいかにも芸協らしい演目と感じたし、同じ演目でも落語協会の噺家さんとは違う型で演じていることが分かる。

浅草を出て、曳舟経由で錦糸町に。楽天地スパで疲れを癒す。そのままラストまで。7,522歩。

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