新宿末広亭の深夜寄席を覗いてきた。今日は落語芸術協会の日。
時間がぎりぎりだったので、開演に間に合うかどうか不安だったのだけど、中に入るとまだ幕は上がっていない。お手洗いから出たところで、お囃子が鳴り出した。
一人目、春風亭鯉昇門下、瀧川鯉之助さん。なんだか袴をつけるのに手間取って、始まりが少し遅くなったらしい。開演に間に合ったのはそういうことか。


演目は時そば。客とのコミュニケーションも適度でいい。全体に北朝鮮風味のスパイスを聞かせる。冷麺とかビビン麺とかが出てくる。オチも北朝鮮ネタ。でもそれほど過剰じゃないし、噺の基本構造までは崩していない。ほどほどのところで止めるインテリジェンスを感じる。余談だが、この噺をピョンヤンでやるときは、やはり時冷麺という演題になるのだろうか。
二人目、女流講談師、神田ひまわりさん。演目は清水次郎長伝、小政の生い立ち。感想は略す。
三人目、春風亭昇輔さん。まず自分の天然パーマをネタにする。髪を切りに行くお金がないから天パーが伸びてアフロになってしまった、アフロだと落語の登場人物に扮しづらい、など。やおら懐からサングラスを取り出し、横に向き直って、キム・ジョンイル、という一発芸。北朝鮮絡みは、さっきの噺の後では少し間が悪いか。
昇輔さんの演目は竹の水仙。この噺は、ついこの間の「雷蔵八百夜」で春風亭柳之助さんが演るのを聞いたが、昇輔さんも基本的に同じ構成、くすぐりも同じ。あるいは教わった人が同じか。うちに帰って寄席演芸年鑑を見ると、二人とも亡くなった春風亭柳昇師の弟子で、柳昇さんの死後に、柳之助さんは小柳枝門下、昇輔さんは鯉昇門下にそれぞれ移ったのだそう。
が、この昇輔さんの竹の水仙、やたらとテンポが速い。速すぎてところどころ言っていることが聞きづらい箇所もある。間や緩急が使えていない。時間が押しているので気が急いたのだろうか。しまいに、甚五郎が宿屋の主人に正体を明かす場面で、飛騨高山の左甚五郎と言うところを、肥後熊本の、と口が滑ってしまって、噺がハチャメチャになる。そういう味の人かなという気もしますが。
どうしても先日聞いたばかりの柳之助さんの竹の水仙と比べてしまうが、安定感、うまさという点では柳之助さんのほうがいい。昇輔さんはキャラの演じ分けが今ひとつという感あり。甚五郎の訛り(上方言葉?)も疑問。ただ、柳之助さんは鹿児島出身だそうだけど、江戸言葉に自然さ、軽やかさが欠けるようにも感じられる。まあそれも本人の味なのか・・・。
最後は、三笑亭月夢さん。この人のプロフィールを調べようと名鑑を見ると、あれ、出てない。まさか入門したてということもあるまいし、と思って芸術協会のサイトを見ると、ちゃんと出てました。そうか、もともと亡くなった桂枝助師匠の弟子で、この四月に三笑亭夢丸門下に移籍したばかりなのか。それなら今年の寄席演芸年鑑には出ていないはずだ。ちなみにこの人の経歴は興味深いですね。気になる人は芸協のサイトを見てください。
深夜寄席ならでは、普段昼間の寄席ではやりにくいネタということで、まくらに下がかった小話を二つ三つ。そういう意味ではさっきの北朝鮮系のネタもそうだな。
ただこの人も、終演時間が気になるのか、全体に口調が走り気味。そこがもったいないですね。演目はやっぱり艶噺で、題名を調べたけどよく分からなかった。誰か教えてください。婿に入った旦那が三回死ぬ話。三回死ぬってのは、最初の旦那が早死にして、まだ若いからって次に婿にもらった旦那がまた早死にして、その後でもらった旦那がまた早死にして、ということです。補足しますが。

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