浦和に行ってきた。
といっても、居酒屋に行ってきたのではありません。
うらわ美術館でやっているフルクサス展を見てきた。
フルクサス絡みの展覧会って、どこか不思議なワクワク感がありますな。
展示を見ていると、突然、会場に、バタン、とか、ジャララン、とか、不穏な音が鳴り出すし。
なんだろ、と思うと、これは展示室に置かれたピアノの鍵盤に石を置いたり並べ替えたり、弦の上でビー玉を転がしたりしている音なのであった。
あと、卓球台が置いてあって、ラケットが鉛で出来ててやたら重かったり、持ち手が2メートルだったり、ラケットの板の真中に大きな穴が開いていたり。
こんな説明じゃ、何がなんだかわかりませんかね。
ふと、10年くらい前に水戸芸術館で見たジョン・ケージ展を不意に思い出したりして。
あのときも、今思えば、なんだかヘンテコなイベントに参加したような気がしますね。
展示ケースの中に収まった作品自体は、ある種の残骸みたいなものでしょうから、それ自体を見ても、必ずしも面白いかどうか。まあ、当時を偲ぶよすがというところか。
印刷物の類は、主宰者?首謀者?のジョージ・マチューナスがグラフィック・デザイナーだったからというのがあるんだろうけど、今見てもセンスいいなあというのはあるけどね。
会場の隅で、去年、ベン・パターソンが来日したときに、AY-Oさんが出迎えの富士山バスツアーをやった模様のビデオを流してたんだけど、それをずっと見てました。
道中、行く先々で昔のフルクサスのイベントを再現したりしてて。
半分、センチメンタル・ジャーニーみたいな感じ?ああなっちゃったら、もう毒気はないけどね。でも、ほほえましくて、最後まで見ちゃったわけで。
その後に流れてたオペラのパフォーマンスも、あれ、生で見に行けばよかったなあ。バスツアーはともかくとしても。後悔。
フルクサスって、関わってた人も美術プロパーの人ばかりじゃないし、全体にアマチュアリズム的な明るさを感じるから、この展覧会は、普段、いわゆる現代美術を見ない人にも、おすすめかもしれませんね。(その一方で、マチューナスの人生をみると、体を張って、命を賭けてやってるという重たさ、切実さはすごいあるけどね)。
会期は残り少ないけど、できれば、ぼくはもう一回行きたいと思っています。
なにしろ、これだけの内容で、入場料がタダだったんですよ。その日がたまたまだったみたいだけど。
浦和市民、じゃなかった、さいたま市民はすばらしい。
浦和という街も、実は、今回初めて浦和駅で降りたんだけど、再開発の具合と、古い町並みの残り具合のバランスがいいですね。
街のスケール感も、大きすぎず、また小さすぎず、ちょうどいい具合。
地方都市とはこういうものです、という感じ。
駅から美術館に行く間にも、よさげな店が何軒もあって(ちなみに、居酒屋「丸真」は、うらわ美術館のすぐ近く)、これは住みやすい街かもしれないぞ、と思った。
ただし、街全体にレッズ濃度が濃いのがねえ。商店街や店先のあちこちに、レッズ絡みのポスターや選手の写真などが張ってあるし。レッズに何の思い入れもなく、サッカーファンでさえないぼくには、敷居が高いなあ。
実際、帰りに駅のガード下の立ち飲みで飲んでいたら、向かい側のおじさんたちの会話、サッカーの話題ばかりだし。こんな街、ほかにないでしょう。
そこに目をつむれば、浦和という街、結構よさそうです。
うらわ美術館
http://www.uam.urawa.saitama.jp
開館5周年記念 フルクサス展−芸術から日常へ
http://www.uam.urawa.saitama.jp/tenran_doc.htm#e2