ゆうべ、うちに帰ったら、東京かわら版の4月号が寄席演芸年鑑と一緒に届いていた。
どちらもまだちゃんと読んでいないけど、かわら版本誌にざっと目を通すと、今月の巻頭エセー(目次も本文も「エセー」となっている。前号までは「エッセイ」だったのに。何か含むところがあるのか)の筆者が森村泰昌氏。


先月の筆者はなぎら健壱で、この人なら、なんとなく落語が好きそうという気はするが、森村泰昌が落語好きという情報はいったいどこから仕入れるのだろうか。
久しぶりに、谷中カフェに立川こしらのお笑いライブ「Cafe La Cugo」(あいかわらずこっぱずかしいタイトルだけど)を覗いてきた。半年ぶり、あるいはもっとかな?
3月20日のGEISAIに出展したそうで、ほかにも雑誌に何か記事を書いたり、相変わらずインターネットラジオも続けてたり、こしら一派もお元気そうでなによりです。
谷中カフェの狭苦しい2階に上がると、海岸で拾ってきたような流木みたいな木が、部屋の三方の壁にずらっと立て掛けてある。
それに、ぼくはこの人の正体がいまだによく分からないのだが、こしらから「監督」と呼ばれている秋葉くんという人をはじめ、2、3人のスタッフが、揃いの赤いサッカーウェア(という言い方でいいのだろうか)を着ている。
何かの演出なのだろうか、といぶかしく思っていると、壁の流木は先月からお店のオーナーが取り付けたそうで落語とは何の関係もなく、サッカーの格好は、今度たまたま集英社のチームと対戦することになったので着ているだけで、今までサッカーの試合などやったことがないのだという。それも、一度客に見せびらかしたあとは、あっさり着替えているという脱力ぶりだ。
さて、毎月末に谷中カフェで開催しているこの会、ぼくが前に来たときは、こしらさんは、休憩を挟んで古典落語を二席やっていた。
それが、ここ最近は、まず古典を一席やるのは同じだが、もう一席は、休憩前に客から三つお題をもらっておき、休憩の間に即席の三題噺をつくって、それを演じているのだという。
ま、「らくごのご」みたいなもんですか。観客の数は行ってくるほど違う(この表現は富山弁的)けど。
一席目、ネタに入る前に、まず近況報告の長いまくら。例えば、GEISAIに出展した企画をもしかしたら今度愛知万博でやるかもしれないという、うさんくさい話とか、ギャラの出ないインターネットラジオの話とか、立川企画に紹介されてNHKのラジオセンターでADのバイトをしていたけどクビになった話とか、まあそんな話をさんざん続けたあとに、「江戸っ子は五月の鯉の吹き流し・・・」てなわけで、演目は「寿限無」。
おなじみ、コブが引っ込んじまったところで、三題噺のお題を客席から募る。
しかし、こしらさんという人はガンダム好きらしいのだけど、それを真に受けたのか、お題を振られて、いきなり「ザクレロ」ってのはないだろ。これを言った人も、いくぶんオタク然とした人でしたけどね。
ほらほら、前のほうの女性客など、何のことか分からずにポカンとしてるじゃない。
私だって、ああガンダム関係の方なのかしら、という程度しか分かりません。
で、その様子を見て取ったこしらさん、ザクレロとは何かを説明するのに、
「人類が増えすぎちゃったんですよ」
おいおい、そこから始めるのかよ。
でも、そこから始めて、ザクレロみたいなモビルアーマーが開発されるようになるまでのガンダム世界のストーリーを、ほんの短い時間でそれらしく語ってしまうんだから、さすが落語家だなあ(どんな落語家だ)と感心しましたよ。
ザクレロはともかく、もう二つのお題は「万博」「山手線」と、まあ、無難そうなものに落ち着いたけど、よく考えたら舞台は江戸時代ですからね。
休憩明けにどんな三題噺が出来上がったか。
結果、ザクレロを入れ込むのはさすがに無理矢理だったけど、案外ちゃんとした落ちを作ってました。内容はご想像にお任せします。
面白かったけど、でも、ちゃんとした古典ももう一席聞きたかったな。古典を二席やって、さらに即席の三題噺もやるのはどうでしょうか。大変ですかね。
東京かわら版
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谷中カフェ
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立川こしらの充実しません
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