川柳つくしの「君こそつくしだ!」という落語会を見に行ってきた。
会場は、なかの芸能小劇場。この場所は初めてだ。いつからあるのだろう。
だいたい、中野駅で降りるのも久しぶりで、学生のころ、1年間だけ中野駅を使って通学していたのだが、そのときはこんな施設はなかった。
もっとも、ぼくが中野駅を使っていたのは、今から10年も前の話だ。


川柳つくしは、川柳川柳門下の二ツ目。入門から8年という。
この人の落語は、以前、末広亭の深夜寄席で聞いたことがある。OL同士の会話で、お局さん的な先輩OLが同僚の男性からプロポーズされたと勝手に勘違いしている内容の新作落語だった。
正直言って、ぼくは深夜寄席で二ツ目さんたちが自作の新作を演じるのを聞いて、あまり感心したことがないのだが(古典を自分なりに壊すのは好き)、そのときのつくしさんの噺は、結構好感を持って聞いた。
しばらく前に、お江戸両国亭でつくしさんも出る新作の会があったのだが、ちょっと用事で見逃してしまい、別の機会を探していたのだ。
さて、ビルの2階の会場に入ると、客席数100人ほどの小さなホール。池袋演芸場を縦長にしたような感じだろうか。
客層は微妙だなあ。年齢層は高め。開演時間が遅めのせいか、サラリーマンらしいスーツ姿の男性も目立つ。
今回は川柳つくし一人しか出ないらしいし、こういうところに来るのは、演芸マニアなのか、つくしファンなのか。
正体不明の怪しい容貌の男連れが、通路を挟んでぼくのとなりの席に座った。一見してすでに怪しいのだが、落語の最中にぼそぼそ喋ったり、浅田飴?の缶をカラカラいわせて飴をなめていたり、かなり迷惑で気持ち悪い野郎どもだった。
開演時刻には、3割程度の座席は埋まっていたように思う(と書くと少ないようだが、それくらい来ていれば、それなりに客が入っているように見えるものだ)。
舞台の上に高座をしつらえて、座布団が敷いてある。
定刻から5分ほど過ぎて、川柳つくし登場。
これまでの自分のソロライブの経緯などをひとくさり喋ってから、一席目は、つくしさんが昔、初めて作った新作落語を口演。
三遊亭円丈師が、処女作の中にその落語家の方向性があると言ったという。
つくしさんの処女作という、その新作落語は、ある会社のOLが取引先の(気持ち悪い)男性社員から一方的に好意を持たれて、会社にラブレターをを送ってきたり、返事が来ないとなると、会社の受付にやってきたりと、付きまとわれてしまうという、つくしさん曰く、プチスト(プチ・ストーカーの略)のお話。
つくしさん自身、学校を出てからOLの経験もあるそうで、この噺も自分の実体験を基に作ったそうだ。だから、つくしさんのキャラと、噺の中に出てくるOLのキャラが、どうしても重なる。
よくはまっていると言えるし、逆にいえば、そこに限界があるのかなとも思う。
二席目は一転、高座をとっぱらって、舞台に机と椅子を置き、つくしさんも洋服姿に着替えて登場(ただしよく見ると足袋履きだ)。落語ではなく、コントという趣向。
男にだまされ続けた女が、生まれ変わった自分宛にメモを残そう、という話。
悪くはないけど、舞台が暗転して、え、もうこれで終わり?という物足りない感じもある。もう一本くらい、この調子でコントがあってもよかったのでは。
それに、着物姿の新作落語2本の間に洋装でのコントを挟むという構成だから、衣装換えで暗転している時間がちょっと長い。
つくしさんの一人舞台だから、他に誰も間を繋いでくれる人もいないのだが、例えば、スライドの映写をもっと上手く使うとか、構成自体をもう少し考えるとか、何かやりようがありそうなものだが。
舞台を暗くして、その間渋いブルーズを流す(多分、つくしさんの趣味なんだと思う)のも悪くはないけど、ちょっと重たすぎるのではないか。
さて三席目は、再び舞台に高座を用意して、新作落語。
今度はOLではなくて、つくしさんの実年齢と同じ(かな?)34歳の主婦を主人公にしたお話。時計をちゃんと見ていなかったけど、1時間近い熱演ではなかったか。
よく練ってあって、途中で一瞬サゲが見えたかなと思ったけど、落語的にきれいに落ちた。
ただ、今これを書いていてふと思ったのだが、その奥さん、二十歳でナンパされてダンナと付き合い始めて、いつ結婚したのかわからないけど、子供はいないようだ。
倹約生活のグチを結婚相談所でぶちまけるくだりはよかったけれど、いくらダンナの給料が安いとはいえ、子供なしで自分もパートに出ているのに、そこまで切り詰める必要があるのだろうか。
ある部分でディティールを出しているのに、別の部分のディティールが抜け落ちている。自分のキャラと重ねるやり方で噺にリアリティーを出す方法が、微妙にズレているのではないか。
まあ、噺を聞いている最中はそこまで考えなかったんですけどね。
いろいろ書いてしまったが、今回、つくしさんの新作をたっぷり聞いて、どの噺も、いわばSF的な構成だとか、ガジェットが鍵になっているのは、新鮮な感じがした。一席目の落ちも、ちょっとホラーっぽいしね。
だから、OLとか自分のキャラに限定されずに、SFっぽい道具立てを使ったつくしさんの新作をもっと聞いてみたいと思ったのだが、どうだろうか。
つくし情報
http://www.tsukushi-info.net/

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