こんな夢を見た。
ひょっとすると池袋演芸場ではないかと思うが、街を歩いていたら、寄席囃子が耳に入ってきたので、ふと見ると、小沢昭一が、今度はこちらの寄席に出演しているようだ。
しかも、こちらでは小沢さんが定席の主任だ。そのうえ、この日は誰かの代演で小沢さんが2席やるという。それも落語をするらしい。


ビルの外からは分からなかったのだが、中に入ると、やはりものすごい行列ができている(演芸場の入口は建物の奥にあるようだ)。
先客や係員らしい女性に聞くと、この行列に今から並んだのでは、到底小沢さんの出番に間に合わないらしい。
まあ仕方がないか。末広亭にさえあれだけの行列ができていたんだ。2席も落語をするというのなら、それどころじゃないだろう。急にふらっとやってきて、すぐに中に入れるわけもない。
あきらめかけていると、突然、上空に軽飛行機が飛んできて(建物の中にいると思っていたら、いつの間にか屋根が空いているフロアに出ていた)、そこからパラシュートをつけた男が飛び降りた。
なんとなく、その男のことをミュージシャンらしいな、と思っていると、並んでいる客の誰かから、あれは小坂忠だ、という声が上がり、周囲が騒然となる。
そのうちに、誰かが頭の上で手拍子を叩きながら、「ほうろう」を歌いだした。
それにつられて、あちこちで歌声が上がる。ぼくも声を張り上げて歌った。その歌声が、だんだんまとまりつつあるようで、なかなかひとつにならなくて、もどかしい。
次第にパラシュートの人影が大きくなってきて、ついに、行列ができている広場の真ん中に降り立った。
黒尽くめの衣装を着たその男性は、なんだ、小坂忠ではなくて、誰か知らない、売り出し中の若いロックミュージシャンのようだった。
何かの宣伝だったのか、そそくさと通りすぎる背中に、その歌手の名前と、アルバムのタイトルらしい文字が書いてあるのが見えた。
もう一回寝るか。

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