新宿末広亭の深夜寄席を覗いてきた。
今回の深夜寄席は落語協会の順番で、出演した噺家さんは、出番の順に三遊亭歌彦、柳家小太郎、桂才紫、そして三遊亭天どんの4人。
まず三遊亭円歌門下、歌彦さんの演目は「阿武松」。
能登の国から出てきたお相撲さんが、飯を食いすぎるということで破門になり、川に身を投げようとして・・・、という人情噺。
この噺は、もう1年ほど前になるけども、ねぎし三平堂で林家錦平さんの演じるのを聞いて、ほろっとするところと笑わせるところと、古典的な感覚と現代的な感覚とが絶妙なバランスで、落語初心者のぼくは、いやあ落語って面白いもんだなあとすっかり感じ入ってしまったことがある。
たぶん難しいだろうこの噺を、歌彦さんは無難にこなしていたように思う。
次は柳家さん喬門下、小太郎さん。演目は「愛宕山」。
なんといっても幇間の表情がいい。独特の雰囲気のある人。
桂才賀門下、才紫さんは「雛鍔」。とてもいい声をしている人。
さて、「阿武松」、「愛宕山」と大ネタが続いていることからも察しのように、三人目の才紫さんのネタが終わったところで、時刻はすでに10時50分。
この深夜寄席はいつも11時で終わりなので、あれ、今日はこの三人でおしまいなのかな、と思うと、さにあらず。最後は三遊亭円丈門下、天どんさん。
普通だったら寄席のトリを取るのはとてもうれしいことなのだけど、深夜寄席に限っては、始めのほうの人が大ネタをやってしまうと時間がどんどん押してしまうので、あんまりありがたくないそうです。出番もアミダで決めるようなことを言っていたけど、本当なのかな。
天どんさんのネタは「初天神」。
前の才紫さんが「雛鍔」という子供の出てくる噺をやった後で、また子供の出てくる噺をするのは普通は恥ずかしいそうなのだけど、ご本人曰く、そこをあえてやってしまうということ。
どうなるのかと思ったら、まず時間がないということを逆手にとって、話が横道にそれては戻り、戻ってはそれ。また「雛鍔」だけでなく、その前のネタもどんどん引用して、臨機応変に噺を変形していく。最後に出てきて一番笑いを取っていた。
円丈さんの弟子が古典をやると、ああいう感じになるのかな。なるほど。いや、でも面白かった。
ということで、終演は予定を若干押して、11時10分。
ところで落語といえば、このあいだ谷中カフェで立川こしらさんの落語を聞いてきた話を書いたけれど、いまタワーレコードの「NO MUSIC, NO LIFE.」キャンペーンで、スケッチ・ショウとドラゴンの3人が店先に並んでせんべいを食っているせんべい屋さん、あそこって谷中カフェのお向かいあたりにある店ですな。今度行ったとき食べてみよう。
NO MUSIC, NO LIFE.
http://www.bounce.com/article/article.php/1228/