先日「酒場百選」の出版記念会にノコノコと出かけていって、ひさかたぶりに斯道の熟達の方々にお目にかかった。
こういう場所に顔を出しているわりに、全然精進が足りない自分の至らなさを思うとともに、皆さんの日ごろの活動ぶりに刺激、触発された。
そこでワタシも、ここいらで気を入れ直して、居酒屋めぐりを再び活性化させましょうか。カロリー摂取には気をつけながら・・・。
ところでこの「酒場百選」って、ホントに酒場が百軒紹介されているのかな?
クダラナイことが気になって、巻末の酒場一覧を数えてみると、おや、全然百軒以上あるぞ。
まあワタシは、酒場を字義どおり百軒渡り歩くことをとりあえずの目標にして、それまでの覚え書きを残しておくことにしよう。題して、百軒日記帖と。


某月某日
ちょっとした用事を片付けに、赤羽に行く。
実は前の日にも来たばかりなのだが・・・。まあ、その後始末といおうか。
といっても、東京に出てきてこのかた、赤羽に行くのなど、これが2回目である。
早々に用事を済ませて、といいたいところなのだが、その間にもビールを一杯飲みつつ、済ませることを済ませて、夜の街に出た。
事前に浜田さんのサイトで、赤羽のお店を2、3チェックしておいた。
まず程近い「いこい」を探す。が、それらしいお店が見当たらない。
と思うと、なんと昨日今日と、改装のため休業という張り紙がかかっている。うーん。
気を取り直して、「まるます家」に向う。あれだな。遠くからでもすぐ分かる。
しかし雰囲気がちょっとアヤシイ。
店の前に来てショック。なんと休業日だったのか。
せっかく赤羽まで来たのになあ。
まあ、やむを得なければ即ち致し方ない。また出直すことにしましょうか。
まるます家の裏手にある飲み屋小路をぶらぶらして、適当な店に入って飲む。
煮込み、餃子でチューハイを2杯。
今日のところはこれで帰る。
某月某日
宮坂さんに誘われて近くの焼き鳥屋に行く。
宮坂さんは赤羽の育ちだから、先日、赤羽で目当ての店に行けなかったことを話す。
「まるます家」は、やはりご存知だった。ほかにもいい店があるそうだから、今度機会があったら聞いてみようか。
品書きに谷中生姜があったのを、宮坂さんが頼んだ。
この季節になると、飲み屋のメニューでもスーパーの店先でも、谷中生姜という文字が躍る。かく言うワタシも、きのうスーパーで、衝動的に谷中生姜を買って帰って、ウチで食べたのだ。
さて、注文した谷中生姜が来た。湯通ししたみたいにしんなりとして、かすかに酢の香りがする。これは、茹でてあるのだろうか?
実はゆうべ、ぼくは谷中生姜をどうやって食べたらよいかよく分からなくて、茎の部分を落として水洗いし、キュウリといっしょに生でもろみをつけて食べたのだ。
谷中というからには東京の下町の食べ物なのだろうが、赤羽育ちの宮坂さんも、正しくはどうやって食べるものなのかはっきりしない様子。
そこでお店の人に聞いてみると、生では辛みが強いので、しばらく酢水につけておくのだそうだ。茹でたのではないのね。ひとつ勉強になった。
某月某日
初台のオペラシティアートギャラリーに武満徹展を見にいく。
東京オペラシティが出来てから、初台には何度となく出かけているが、地下鉄で行ってそのまま帰るばかりで、オペラシティを出て歩くということがほとんどないなあ。
改めて外に出てみると、甲州街道をふさぐ首都高の存在が、物理的だけじゃなくて、心理的にも圧迫感となっていることに気づく。
新国立劇場側は家並みも新しく、あまりいい店はなさそうだったので、歩道橋で甲州街道の南側に出た。
甲州街道はどすの雨。トコズンドコズンドコ。これは小沢さんの「ズンドコ甲州街道」だあ。
商店街には何軒か飲み屋があって迷うな。
とりあえず目の前の二人連れのサラリーマンが入っていった店に、つられて、少し間を置いて入ってみることにする。
60代くらいの夫婦二人でやっている店だな。カウンターの中にはご主人。
奥さんのほうが、客のおばちゃん二人連れとパンフレットを見ながら鹿児島旅行の話をしている。常連客と旅行にでも行くのかな。
まず瓶ビールを頼み、アジの南蛮漬けと里芋の煮つけが早く出ますよ、というので、南蛮漬けのほうを注文する。南蛮漬けは家庭のお惣菜で出てきそうな味付け。
その後、冷奴でお酒。
二軒目、居酒屋を探している途中で見つけたショットバー。
店のつくりは新しそうで、内装も洒落ている。常連ふうの先客が数名。落ち着いた雰囲気の人たち。
カウンターの中には、まだ若い男性がひとり。関西のほうの人なのかな?気さくに客に話し掛けている。といっても、決してなれなれしくなく、さっぱりしていい感じの人だ。
薄型テレビを入れたばかりのようで、ワールドカップを放映しようとしているのだが、店内にアンテナ線が来ていなくて、室内アンテナの置き位置に四苦八苦している。その所作がいい。
バーボンソーダを2杯飲んで帰った。

コメントを残す