三語楼改め
六代目柳家小さん襲名披露興行
浅草演芸ホール十月中席
10月15日昼の部の覚え書き
前座 柳家緑太 「平林」
落語 鈴々舎風車 「権助魚」
落語 柳家さん福 多分「湯屋番」のまくら
俗曲 明石寿々栄 「すててこ」「鬢のほつれ」「お座付三下りさわぎ」等
落語 鈴々舎馬桜 「子ほめ」
落語 柳亭小燕枝 「無精床」
キセル漫談 ひびきわたる
落語 柳家小里ん 「粗忽長屋」
落語 柳亭市馬 「道具屋」
漫才 ロケット団 ラーメンの作り方をスープを取るところから食べるところまで振りつきでできないとコンビを解散するぞというネタ。熱演。
落語 林家いっ平 小噺を「ちいさい秋みつけた」のフレーズでつないでいくもの。客に受けないと袖でチェックされていて三平を継げないかも、という自虐。でもあまり受けない。
落語 春風亭小朝 あえて落語のネタはやらず、女性が男性に女っぽく見せるためのコツ、とか、おばちゃんは年を取っても女っぽくいよう、というようなお喋りなのだが、これが場内バカ受け。休日の浅草ということを考えてのことか。さすがと唸る。
マジック 花島世津子
落語 入船亭扇橋 「弥次郎」そこが畜生のあさましさ、でサゲ。
仲入り
口上 舞台下手から市馬、正蔵、さん八、六代目小さん、扇橋、金馬の順。
襲名の口上を何度も見ているわけではないのだが、誰かが口上を述べる際に一緒にお辞儀をする人としない人がいるのは、どういうふうに決まっているんだろう。序列の上下とか、一門かどうかとか、そういうことなのか?
さん八師がさるやんごとなきお方からの伝言をその方の声色を使って代読していた。
漫才 涼風にゃん子金魚 スイートホームネタ。
ゲスト? 山田隆夫 これは番組表にはなかった。笑点と同じ着物で登場。山田隆夫は鈴々舎馬風師の弟子でもあって、鈴々舎鈴丸という名前もあるそうだ。弟子といってもおそらく有名人コースみたいなものだろうが。そういや先日、鈴本に馬風師主任の興行を見に行ったときも、やっぱり山田隆夫が出ていた。まあ落語をするわけでもなんでもないんだけど、こういう人は出てくるだけでお客は喜ぶんでしょう。
あれ?今日は当の馬風師匠が出てこないね。番組表には名前があったんだが。
落語 林家正蔵 こぶ蔵だの松村だのと間違われるだの、電車の降りしなにオーラがねえなと言われただのというまくらは、もう何度か聞いた。ネタは「味噌豆」。
落語 柳家さん八 北朝鮮ネタ、皇室ネタ。昭和天皇の園遊会に先代小さんが招かれた時の話を、二・二六事件と絡めて。
紙切り 林家正楽 まず相合傘、それからお会式?、町火消し、あと何だっけな。
落語 柳家小さん 「短命」
正直言って、感想を書きにくい。要するに上手いということなんだろうが、ツッコミどころがない。それはそれとして、聞いていて、あんまりご本人の人間味みたいなものを感じないのだ。いや、だからといって、それが落語家にとって悪いことなのかどうかも、ぼくにはよく分からないのだが、一緒にお酒を飲もうと楽屋口で待っていると、すいっと身をかわされて、中野、立川、八王子と追いかけていくうちに、結局高尾まで来てしまったというような趣がある。終点の高尾では、鎧を外してお酒を飲んでいただけるのだろうか。
それは多分、この人があまりこれまでテレビに露出していなかったせいもあると思う。
また、最近出したという著書を読めば、印象も違ってくるのかも知れない。
まあ、偉そうなことを言っておいて、ぼくが意識して三語楼=新小さん師の落語を聞いたのは、まだ2、3度しかない。寄席に行けば、これからいくらでも六代目小さんの名前を目にすることになるのだろうし、おそらく、そのうちにぼくの見方も変わっていくに違いない。むろん、師自身が、これからどんどん変貌していくのだろう。