映画「サイドカーに犬」を見た

ここ何年も、テレビの連続ドラマの類をまともに見ていない。
おかげで、若い俳優の名前と顔が一致しない。一致しないだけならまだマシで、そもそも名前自体を知らない。
私も35歳になった。これをオジサン化と呼びたければ呼べ。
銀座に行ったついでに、シネスイッチ銀座で「サイドカーに犬」を見た。
前知識はほとんどない。長嶋有の小説が原作であること、主役が竹内結子であること、その程度である。むろん、原作は読んでいない。


冒頭、竹内結子が主演の映画だと思って見始めたのに、しばらくの間、当の主役が出てこない。後から全体の構成を考えれば、そういうもんだろうなと思うが、予習なしだとフラストレーションが溜まる。
さえないOLを演じているミムラ(この人も、一致しないだけならまだマシなほうの女優だ)が魅力的で、というか、この人があまり魅力的に見えてしまっては話と合わないのではないか。それに、もうすぐ30歳という年齢には見えないのだが。
ようやく竹内結子が出てきて、まず髪型に違和感を覚える。20年前の設定の場面だから、わざとなのかも知れないが。
父親役の俳優は誰なのか、見覚えのある顔なのだが、名前が出てこない。例えば、何かグループサウンズのミュージシャン崩れのタレントとか・・・違うな。結局、エンドロールを見てやっと分かった。古田新太か! おじさんぽくなってんなあ。でも、あの役はハマっているように思った。
母親役の鈴木砂羽を、あんなにオバチャンぽくすることはないのではないか。ちなみに、鈴木砂羽は1972年生まれというから、ぼくとほぼ同年輩である。それがオバチャンか・・・というささやかな抵抗もある。
例えば、むしろ鈴木砂羽がヨーコ役ではどうか、いや、それだとちょっとオトナすぎるか・・・。竹内結子はむしろ、ミムラが演じている現在の薫の役ではないか、いや、それでは新鮮さがないか・・・。そんなことをあれこれと考えてみる。
何より、数年の誤差はあるとはいえ、ぼくも、映画の中の彼らと同じ、80年代の少年である。その80年代が、すでに、振り返られる過去として、パッケージングされていることを思うと、少々、せつない。

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