桜木町の創造空間9001で三田村光土里展を見た。
廃止になった東横線桜木町駅の、もとは券売機が並んでいた、その裏側で映像を見る。
これは、ちょっとない体験だ。
コインが詰まったか何かで、券売機の呼び出しボタンを押すと、機械の脇の小窓から駅員が顔を出して、「どうかしました?」などと聞いてきたりする。
その駅員のいる部屋が、ここなのだ。


ぼくらは決して入れない、壁の向こう側。それでいて、確かにその部屋はある。
大げさに言えば、そんなパラレルワールドに足を踏み入れてしまった感覚がある。
むろん、ここにはもう駅員の姿はないし、券売機もすっかり片付けられてしまっている。
が、部屋のあちころに当時の痕跡を見つけることができるし、すぐ隣のJR桜木町駅から、駅独特の騒音や雑踏の声がここまで響いてきて、ぼくをさらに混乱させる。
ここで映像を見ているだけで、秘密の場所で、秘儀めいた体験をしているようだ。
黒ウサギに誘われて、作家が演じる晴れた午後の秘儀を、柱の影から覗き見している。そんな趣がある。
それに、この場所には、ほかにも怪しげなしつらえがまだまだある。もとはスタンドのカフェだったのだろう、あの部屋では、いったい何が執り行われるのだろうか?
作家はいつここに現れれるのだろうか?
* * *
三田村光土里 展
会場: 創造空間9001
スケジュール: 2008年09月13日 ~ 2008年11月30日
住所: 〒231-0062 神奈川県横浜市中区桜木町1-1-75
電話: 045-226-5511 ファックス: 045-212-3779

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