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両国は回向院にある、鼠小僧次郎吉の墓について調べるよう指示があった。
なにやら、鼠小僧の墓石を削って持ち帰ると、受験のお守りになるのだという。
鼠小僧次郎吉といえば、世間では義賊として名高い大泥棒だが、その墓石がどうして受験のお守りになるのだろうか?
そして、墓石というのはそんな簡単に削り取れるものなのか?
さっそく回向院のホームページを見ると、鼠小僧次郎吉の墓について、次のような記述がある。

「長年捕まらなかった運にあやかろうと、墓石を削りお守りに持つ風習が当時より盛んで、現在も特に合格祈願に来る受験生方があとをたちません」???
鼠小僧が長年捕まらなかったことと、受験生の合格祈願に、どんな関係があるのだろう?
その後、別のサイトを検索したりして、大概、以下のようなことが分かった。
まず、鼠小僧の墓石は、元来は博打運、あるいは金運のお守りとされていたこと。
鼠小僧次郎吉は、名にし負う盗賊であると同時に、博徒としても知られた人であったようだ。次郎吉に本当に博才があったかどうかはともかく、盗みおおせた大金を手にしていたことは確かだろうし、それにあやかろうという気持ちは分かる気がします。
では、その墓石が受験のお守りとされることについて。
これは、鼠小僧がお屋敷の狭い入り口からするりと中に入り込めたように、受験生が難関校に入り込みたい、ということらしい。ナルホド。
しかし、釈然としないところがないではない。もともと博打運のお守りだったものが、どうして受験運のお守りとされるようになったのだろう。
いくら義賊とされるとはいえ、受験生が大泥棒の博打うちにあやかろうというのはいかがなものかと思う。自分の実力で正々堂々と合格することを目指すというよりは、まぐれでも裏口でもいいから入れればいい、という感じがするでしょ?
引き続き鼠小僧の墓について調べていると、今度は身近なところから情報が飛び込んできた。
おなじみ宮坂さんが、受験生のご子息トオルくんのために、実際に回向院に行って鼠小僧の墓石を削ってきたというのだ。
宮坂さん曰く、墓石の効き目は、やはり、狭いところにするりと入り込めるように、ということ。そして、回向院では、同じように墓石を削っている受験生の親とおぼしき人たちを他にも何人か目にしたという。
そうか、こういうのは本人じゃなくて、親のほうがやるんですね。うーむ、わが子を思う親の気持ちが溢れる情景ではないですか。
ともあれ、宮坂さんの話から、鼠小僧の墓石が受験のお守りになるということが、少なくとも受験生の親たちの間ではかなり周知されていることは分かった。
が、博打運のお守りがいつしか受験運のお守りに転じたことについて、疑問は残る。
このようなご利益のいわれを、誰が、どうやって受験生の(親の)間に広めたのだろうか。
これは、いよいよ実地調査を行わなければなるまい。
調査員は回向院に向かった。

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