イタリアの詩人マリネッティが「フィガロ」紙上に未来派宣言を発表したのが1909年の2月20日だったそうで、つまり今日は、未来派誕生100年の記念すべき日。
というわけで、「未来派宣言100年祭」と題するイベントに行ってきた。
このイベントの企画者は、何度かこのブログでも言及している足立智美氏。
かねて足立さんの仕事には興味があるので、今回もいそいそと出かけた次第です。

会場のLoop-Lineは初めて。千駄ヶ谷の駅から歩いてそう遠くない。てゆうか千駄ヶ谷自体行かないねえ。何年ぶりに降りただろう?
MCで足立さん曰く、未来派100年を記念して世界では他にもイベントが企画されているが、日本ではここだけのようだ。つまり、時差の関係で、世界で始めての未来派100年イベントかも知れない、云々。
時差のせいで日本が一番早いなんて、なんだかボジョレー・ヌーヴォーみたいですね。ボジョレー解禁ではない、未来派解禁。

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さて、この日のプログラムは、登場順に次のとおり。

足立智美「未来派料理と詩のヴァラエティー・ショー」
有馬純寿「金属+加速度+火花」
エキソニモ「はじめてのライブ/My First Performance」
古舘徹夫「ベニート・ムッソリーニへの頌歌」

足立氏は「未来派料理」なるものを観客の目の前で作りながら、料理の合間に未来派の音響詩を朗読(?)。
料理は実際にマリネッティが残したレシピに基づいているそうなのだが、参考までに、「未来派料理」について、英語版Wikipediaの記事へのリンクを貼っておこう。
http://en.wikipedia.org/wiki/Futurist_meals
出来上がった料理は客席にも回ってきて、シャンパンベースのカクテルのような飲み物と、卵をまぶしたご飯に何か白いソースがかかっているものの二つで、味のほうはと言えば、うーん、どちらも形容に困る味でした。いや、特に食べられないくらい不味いというわけではないのだけど、周りに他のお客さんがいる前でおそるおそる口にするから、あんまり味わっている余裕がないのが正直なところ。
上のリンク先にも記述があるように、食事の際に香りを使うのも未来派料理の考え方のひとつということで、足立さんが香りを入れた風船を客席の上で割っていたのも、料理のひとつに数えるべきか。
この日はバーカウンターでもマリネッティのレシピのカクテルを出していた。ぼくも一杯いただきましたが、こっちのほうは、まあ飲める味でした。サイダーで割ってたかな?
これは余談だけど、カクテルという飲み物そのものが、なんだか未来派っぽくないかな?
いろんな材料を混ぜて、まったく新しい味と香りの人工的な飲み物を作り出すのなんて、いかにも未来派料理という感じがする。時期的にも、未来派とカクテルの隆盛はかぶってる気がするんだけど、どうだろう?

有馬氏は、まずはMacの加速度センサーを使ったパフォーマンス。
これは前にも見たことがある。慶応のSFC関係のイベントだったかな?
そして金属製のコイルにグラインダーを当てて音と火花を出す。
氏の手許が暗くて見えないせいもあるのだろうが、光の糸の束が、コイルのような具体的な何かから発せられているのではなく、その束が実際にそこにあって、伸びたり縮んだり、常に形を変えているように見える。空間の中に突如として出現したような物質感がある。
例えるなら、いや、例えになるかどうかわからないが、古い映画フィルムを上映したときに画面に現れる無数のキズ。あるいは、それを意図的にやったものといえるだろうか、実験工房のキネカリグラフィ。そういったものを思い浮かべる。自分が映像の中に飛び込むのか、映像が物質化してここにあるのか。
2曲目(という言い方でいいのか)が、機材の都合で演じられなかったのが残念。

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Arrivederci Futurismo! 未来派宣言100年祭 The Centennial of Futurism
会場: Loop-Line
スケジュール: 2009年02月20日 19:30~
開場19:00
住所: 〒151-0051 東京都渋谷区千駄ヶ谷1-21-6 第3越智会計ビル B1
電話: 03-5411-1312

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