言うまでもなく国際政治も外交史も一介の門外漢にすぎないのだが、韓国からの発表者の二人が、国際関係を表現するのに、共に「ネットワーク」という言葉を使っているのを興味深く思った。
これは、この二人が学問的な背景や環境を共有しているからなのか、それとも韓国人一般がこのような見方をしているのか、それは知らない。
しかし、まるで国際関係をコンピュータ・ネットワークのメタファーで語るようで、そういう見方もあるのかと思う。

世界のそれぞれの国をネットワーク上のひとつのノードに見立てるなら、一国がネットワークのハブの機能を果たしたり、あるいはひとつのノードが複数のネットワークに同時に接続されていることもあって、その国がネットワーク間のゲートウェイの機能を果たすということもあるだろう。
まあ、上に書いたような模式はぼくの勝手な理解で、二人とも特にコンピュータ・ネットワークのことには言及していなかったと思うけれど、韓国は名にし負うインターネット大国なわけだし、金湘培氏の言うところの、”inter-network politics”すなわち網際政治というキーワードや、「北京コンセンサスを前面に出した中国ネットワークと新自由主義を押し出した米国ネットワークの間で韓国が果たす一種のスイッチャーの役割」という物言いを聞いていると、あながちぼくの見当もそう外れてはいないんじゃないかと思う。
世界のネットワークなんていうと、いつかどこかのCMで見たような、地球の上の都市という都市が光の線で次々に結ばれていくイメージを思い浮かべる。
実際には、ひとつのネットワーク内でも、各ノードがまったくフラットな関係ということはなくて、その中でも階層が分かれている場合も多いのだろうが。
今日の話を聞くまでは、国際関係について、互いに接続関係にあるようなモデルじゃなくて、むしろチェス盤の上の駒のように、それぞれ独立したプレーヤーが、同じルールの下で動いているようなイメージを考えていた。近代の国民国家や、国民国家間の関係は、そんなモデルと平仄が合うんじゃないかと思う。
朝貢関係なんかは、どんなモデルに例えられるかな?
金氏のいう、複数ネットワーク間のスイッチャーというイメージは、ダイナミックで、ちょっとそそられるね。実際の制御は大変なんだろうけど。

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第8回日韓アジア未来フォーラム・第34回SGRAフォーラム「日韓の東アジア地域構想と中国観」
会場: 東京国際フォーラム ガラス棟G409会議室
スケジュール: 2009年02月21日 14:30~17:30
住所: 〒100-0005 東京都千代田区丸の内3丁目5番1号
電話: 03-5221-9000

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