
何より、一座の名前が気に入った。
いや、正しくはこの名前は「開座」と書いて「かいざ」で、ぼくは「ひらき」。でも、細かいことはいいじゃないですか。
おかげで座員にはぼくの名前はすぐに覚えられてしまった。
写真に撮った看板は、最近作ったばかりなのだそうだ。この場所に来たのは、昨年12月末の公演が初めてだったのだけど、そのときはまだなかった。
今回、寒風すさぶ中、座員の女性がこの大きな看板を掲げているのを見つけて、まずびっくりしたあと、ちょっと照れくさいような気分になった。
森下の大通りから外れた、ほとんど人通りのない一角である。
促されて、ワンルームマンションの一室にいそいそと上がりこむ。
それでなくても、どこか秘儀めいた一味に加わろうとしているようである。
