うっかりしているうちに5月も終わってしまいそうだ。
毎度言い訳がましく話を始めるのも気が引けるのだが、4月の終わり頃からお仕事のほうがそれなりに忙しかったうえに、連休に入って風邪をひいてしまった。
さすがにこじらすことはないけれど、鼻がグスグスいったり、ノドがイガイガしたりというのが続いて、なかなか風邪っ気が抜けてくれない。


その間、長文で能書きをたれる気分にもなれず、そういう気力もなかったし。
えーっと、前は何の話をしていたんだか。
正蔵襲名の話も、もうどうでもいいですね。
覚えてることをざっと書いておくと、口上は、舞台下手から、司会の一朝さん、小朝さん、新正蔵、木久蔵さん、円蔵さんの順。
円蔵さんの挨拶で、小朝さんが売れてきたころのことに言及していたのが、若くて力のある落語家への微妙な感情みたいなのが垣間見えて興味深かった。
舞台から手ぬぐいを撒いてくれたけど、一番後ろに立ってたせいで、全然届かなかった。
その後の木久蔵さん、円蔵さんは、休憩前に小朝さんが言ってたみたいにあっさりと。
木久蔵さんは、先代正蔵の思い出話で、円蔵さんのネタは「反対俥」。
「反対俥」って、先代だか先々代だかの正蔵のおはこだったというようなことを円蔵さんが言ってたような気がするが、時間が経って忘れてしまった。
トリの新正蔵さんは「ねずみ」。
そういえばこのネタ、去年の秋に林家錦平さんの独演会に行ったら、錦平さんが一席目に演じていた。その日のゲストはこぶ平さんで、「四段目」をやっていた。
新正蔵の「ねずみ」はどうか。やっぱり、錦平さんは上手かったなあと思ってしまう。
「四段目」では、芝居好きでおっちょこちょいな小僧さんがこぶ平さんのキャラと被るなあと思いつつ聞いていたんだけど、この「ねずみ」でも、やっぱり鼠屋の息子のキャラと被ってる感じで、どうしても小僧キャラになってしまうのか。
が、噺の終わり近く、甚五郎が棟梁政五郎の二代目と連れ立って仙台に向かうくだり、この二代目政五郎のセリフになったとたん、若い江戸っ子の大工の気風に、俄然目を見開いた。なんて言えばいいんだろう。年長の甚五郎に対してきちんと礼儀正しく、それでいて威勢がいいのね。テレビで見せるような、どこかおどおどしたいじめられっ子キャラとは全然違う。
そうか、新正蔵にはこういう一面もあるのか。
この日、確か林家種平さんが言ってたんだっけなあ? 今のこん平さんの一門で江戸っ子というのは実は二人しかいなくて、あとはみんな地方出身。
その二人というのが、新正蔵といっ平の兄弟だっていう話。
何代も続く江戸っ子だからこそ、自然に身に付いている口調や所作というのは、厳然としてあるのだろうな。
テレビでは、こういう江戸っ子キャラって真正面からはあんまり見せてないでしょう。多分。
実は、計り知れない蓄えがある人なのかも知れないぞ、と思った。

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