小沢昭一さんが出演した末広亭の話の続き。
よく、盆と正月が一緒にやってきた、なんて言い方をするが、この日のお客さんの入りのスゴさは、もう、お正月とゴールデンウィークが一緒にやってきたんじゃないかっていうくらい。
というのも、どの噺家さんが言ってたか忘れたけど、寄席にお客さんがたくさんやってくるのは年に2回、正月とゴールデンウィークだそうで、今週は、平日だってのに、そんな連休並みの客入りだっていうから、やっぱり小沢昭一効果なのか。普段あまり寄席に来ない人に加えて、小沢さん目当てで来ている人もかなり多そうだ。


前回書いた、ぼくに席を勧めてくれた年配の女性も、そんな一人のよう。
中入りのとき、ぼくが例の「小沢昭一がめぐる寄席の世界」を売店で買ってくると、その方もすでに購入されていたようで、あなたもお買いになったの、という感じで声をかけてくださった。
その方、どうやら小沢さんが新劇の舞台で活躍されていたころからのファンらしく、なんと1960年代に小沢さんが参加していた劇団「俳優小劇場」の設立パーティー?の招待状をぼくに見せてくださり、さらに、1969年に刊行された小沢さんの初めての著書「私は河原乞食・考」の初版本も持参されていて、これは、機会があったら小沢さんからサインを貰おうというおつもりだったのかな。
これまで「小沢昭一的こころ」の小沢さんしか知らなかった、たかだか数ヶ月のにわか小沢マニアが、いっぱしのファンの顔をして隣に座ってるのが恥かしくなるくらい。
でも、その方から「まだ若いんだから、今のうちにいろいろ見ておかなきゃ」(意訳)なんて声をかけてもらえて、わが意を得たり!という思いがした(あと、まだ若い、と言われたのも嬉しかった。まあ、その方からすれば、ぼくなんて小僧ッ子でしょうが・・・)。
さあ、いよいよ、随談・小沢昭一。
舞台上には座布団と机(釈台って言い方はよくない、と「寄席の世界」の神田伯龍さんとの対談に出ていましたね)。
出囃子は、やっぱりそうか、「小沢昭一的こころ」でお馴染みの「明日のこころ」。
客席から万雷の拍手。ぼくも、隣の小沢ファン大先輩も、上体だけはスタンディング・オベーション。ちゃんと背筋を伸ばして手を叩きます。
小沢さんは和装、そして、手には風呂敷包みを持って登場。なんだろう。菓子箱より大きいが、厚みはない。
ぼくは、生の小沢昭一を見るのも初めてなら、目の前で喋るのを見るのも、もちろん初めて。ラジオよりは、かなりゆっくりした話し方。最初は、一瞬戸惑ったけど、こちらもだんだん慣れてくるし、小沢さんも喋りながら客席との間合いを計っている部分があるのかも知れない。やっぱり、声も口調も、まごうことなき小沢昭一だ。

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