さて、1961年の春原政久監督作品「猫が変じて虎になる」のお話です。
皆さんはこの映画のタイトルから、どういうストーリーの作品だと思われるでしょうか。
ぼくはといえば、題名のことはあまり深く考えずに座席につき、さあ、場内が暗くなって上映開始。タイトルロールのバックでは、張子の虎が首を振り振りしている。
後になって気がつけば、このタイトル、映画のストーリーそのままだったりするのですが・・・。もっと早く気づけよ、と言われそうなものです。


今度の小沢さんは、生命保険の営業マン役。
今でこそ生命保険というと、ニッセイのおばちゃんみたいな、女性の営業が扱う商品というイメージがありますが(最近の外資系の生保とかだと、また違ってきているのかな)、当時はこの映画のように男性の営業社員が扱うものだったのか。
どうやらこの頃は、生命保険という商品自体が、まだ人々に認識されていなかったみたい。
要するに、俺は、あたしは、こんな元気でピンピンしてるのに、死んだときの話をするなんて縁起でもない、失敬な、という感覚だったみたいですね。映画の中で、手当たり次第に飛び込みで営業する小沢さん、結構さんざんな目に遭っている。
で、契約を取るためには、飲ませ食わせの手を使うこともしばしば。
契約成立の祝杯とばかり、たった今ハンコを押させた客と、飲めや歌えの宴会を始めた小沢さん、あろうことか、その客が目の前でポックリ逝ってしまった。
保険料一回分しか貰ってないのに、さっそく保険金の100万円(今でいうといくらくらいなのだろう?)をお支払いすることになってしまい、営業部長から大目玉をくらう。
この部長を演じるのは、脱線トリオの南利明。
南利明は、前に紹介した「大当り百発百中」にも、スケベなカメラマン役で出ていましたね。
実はワタシ、この部長が南利明だって、最初、気がつきませんでした。だって、うみゃーとかだぎゃーとか、名古屋弁丸出しで喋らないんだもん。失礼。
南利明の出番は、冒頭で小沢さんと絡む、このシーンだけかな。
一方、由利徹は、この映画では出ずっぱりの大活躍。
由利徹も南利明も、「大当り百発百中」では、どちらかというとワキでいろどりを添える感じだったけど、この映画の由利徹は主役の小沢さんも長門裕之も食っている。
ところで、あれ?脱線トリオって言っているわりに、さっきから二人しか名前が挙がりませんね。
脱線トリオのもう一人は、八波むと志。うーん、知らないなあ、どんな人か。
この人が、八波一起の親っていうのは聞いたことがあるけど。
といっても、最近、八波一起もテレビ出てるんですか?昔、モーニングショーに出てたのを覚えているけど。
八波むと志という人については、恥ずかしながらこんな程度の認識なんですが、当時、脱線トリオでは、この八波むと志が一番人気だったらしい。どちらの作品も、トリオのメンバーが二人まで顔を揃えているのに、この人だけ出てないというのも、そのことと関係があるのかな?
八波むと志は、この映画が公開された3年後の1964年に交通事故で亡くなったそうですね。
日々是好日 監督・春原政久
http://www.laputa-jp.com/laputa/program/sunohara/

“日々是好日 映画俳優・小沢昭一 「猫が変じて虎になる」の巻” への4件の返信

  1. お久しぶりです。
    お元気そうで何よりです。
    昔のホームページはどうなってるんだろうか、とふと気になり
    ネット検索をしたらこのブログに行き着きました。
    東京の居酒屋が恋しくなって来た今日この頃、是非
    次回帰国時にはご一緒したいものです。
    こちらにも「居酒屋」を名乗る店は数多ありますが、
    どれも君の御眼鏡に敵うものではないかと思います。
    でもよかったら一度昭南島の居酒屋めぐりにお越し下さい。
    お待ちしております。

  2. こちらこそお久しぶりです。
    しかしタイガースは残念でしたね。ま、この話はさらっと流しましょうか・・・。
    居酒屋の話ですが、いわゆる日本風の居酒屋じゃなくても、地元の酒、地元の食べ物をいい雰囲気で味わえる店があるのでは?
    それともシンガポールでは、そういう店を探すのも難しいのかな。
    本当に偶然ですが、今夜、シンガポールの教育制度、政策に関するセミナーに参加してきました。
    これまでシンガポールという国について、さしたる関心もなかった私ですが、かの国の教育政策、そして人口政策、労働政策等についての話を実に興味深く聞きました。
    ・・・興味深い、としか言いようがないな。自分の想定の範囲を超えている。
    実際に暮らしてみて、どうですか。

  3. 地元の酒、地元の食べ物を楽しむ店、ですか・・・。
    そういう意味では沢山ありますねぇ。屋台街はそこらじゅうに
    あるので見るからに怪しげな食べ物も含め、好奇心を満たす
    事には事欠きません。ただ酒、という意味ではいわゆる「地酒」
    はありません。Tigerビールっていうブランドがありますが
    このビール以外は全て輸入品です。(Tigerビールすらも
    工場は国外にあったと思う・・・。)日本酒なんてこっちで飲むと
    御銚子一本1000円くらいします。有名ブランドだともっと
    高いです。
    国そのものは「高度に経済発展を遂げた社会主義国家」と
    揶揄されるような国ですから、きっと深く勉強をしていけば
    驚く事は山のようにあるのでしょうが、一企業の駐在員として
    生活する分にはあまり驚きはありません。ただ、マレーシアとか
    インドネシアから帰ってくると、本当にホッとするくらい清潔で
    安全ですね。この点は本当に家族を連れて生活する意味に
    おいて助かります。国そのものの治安は原則として厳罰と
    罰金によってコントロールされているので、あまり好ましいとは
    思わないけど、国民が皆政府には刃向かわないほうがいい、
    というような思想で生活している感じに受け取れる事が時々
    あって、それが何となく不気味ではあります。

  4. ゆうべは恵比寿で飲んでいました。一人飲みですが。
    しかし、同じ店でも、大勢で飲んだときと、ひとり飲むときとで、店の印象がだいぶ違うことがある。
    あのときはよかったんだけど、一人で飲むと、なんだ、応対がこんな違うのか、とか。
    面と向かうと、冷静に観察する視線が入ってしまうのかもしれない。
    まあ、人付き合いも同じようなものかもしれませんが。
    なかなか難しいものだと思います。
    シンガポールにも気安い店があるみたいでよかった。
    完全無欠の御清潔な国というわけでもないんだ。
    たかが1時間半ほどのレクチャーを受けただけで、大したことも言えないのですが、例えば、一般的に教育は、確かに国家の政策という一面はあるにしても、それと同様に、家庭の問題だったり、プライベートな問題だったりする。
    ところが、ぼくの感覚では、そうした国の人為的なコントロールを受ける範囲外だと漠然と思い込んでいた領域まで、積極的に国家の政策の対象に組み込んでいっているということに、新鮮な驚きがありました。
    それがいいのか悪いのか、まあ、壮大な実験国家だなあとは思いました。

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