二晩連続で3時過ぎまで眠れなかった。
地下鉄に乗っていると、ひと駅過ぎるたびにウトウトしたりハッと目が覚めたりする。
という最悪なコンディションで、ビル・ヴィオラの「はつゆめ」という映像作品を見た。
今、森美術館で「はつゆめ」というヴィオラの回顧展をやってますが、この展覧会の名前は、「はつゆめ」という作品のタイトルから取られているんですね。
ところが、当の「はつゆめ」は、「はつゆめ」展には出展されていない、というよくわからない話なのです。今回は、その「はつゆめ」を特別に上映するというので、森美術館に出かけた次第なのですが、映像を見る前から眠くって仕様がないので、これはもう、最初から負け戦みたいなものなのです。
ということで、いま思い出せば、すべてが断片のような記憶なのですが・・・。
あるシーンではドキュメンタリー映画みたいだなあと思った(説明の学芸員の人はロード・ムービー的という言い方をしていたと思うが)。
あるシーンでは絵巻物的だなあと思った。映像が左から右にどんどんスクロールしていく。印象的なのは竹林の中のシーン、水田地帯のシーン、あともう一箇所くらい大々的に動いているところがあった。普通あんなにカメラが動きますかね、と思っていたら、説明の人曰く、カメラを回転させて撮っていたそうだ。ものすごい勢いで左から右に動いていたかと思うと、不意にスピードをゆるめて、ちょっと逆行したりする。眩暈がしそう。
しかしわれわれの視線って、モノが左から右に動くのを追いかけるのって、生理的にちょっときつくない? 逆のほうが楽な気がして。それとも、それはあの映像だけのこと?
どこか山頂にある大きな岩、青い空には雲が流れる。やはり、ものすごいスピードで、びゅんびゅんと。いつのまにか、雲の流れが止まる。完全に停止? いや、よく見ると微妙に動いている。岩の周りを人が動くスピードが比較的速いので、スローモーションにすると、あたかも人だけ動いて雲は止まっているように見えるのか。気づかないうちに空と岩とは合成映像にすりかわっていたのではないかと思うほど。
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『ビル・ヴィオラ 「はつゆめ」』
会場: 森美術館
スケジュール: 2006年10月14日 〜 2007年01月08日
1月2日(火)は開館時間を22時まで延長
住所: 〒106-6150 東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー 53F
電話: 03-5777-8600