ICCの「ネクスト:メディア・アートの新世代」展を見に行ってきた。
この企画展のことは前にも少し書いたけれど、あれは関連企画のコンサートに行ってきたという話で、本展のほうはまだ見てませんでした。会期ももうすぐ終わっちゃうし。
この展覧会は、学芸員さん5人が、それぞれお奨めの作家を推薦して出展作家を選んだそうだけど、ICCだけじゃなくていろんな美術館の人が参加しているんですね。
で、そういう選び方をしたものだから、この企画を貫く大きなテーマみたいなものはないような感じ。今生きのいい作家さんたちを選んだということなんでしょう。だいたい30代半ばくらいまでの人たちか。
みんな若いんですよねえ。私もいい年して老骨に鞭打ってあたふたと動いてますが、作家さんたちの年齢を自分がいつの間にか追い越し始めているのにふと気づく。ああ今まで自分は何やってきたんだろ。
気を取り直して、いつものごとく印象に残った人たちの覚え書きをしておきましょうか。
安藤孝浩さん。光というのは粒子でありかつ波動だそうですが。などと浅学な私が書いてもしょうがないんで、もうやめますが、この人の作品では、光電子増幅管を使って、光子のひとつぶひとつぶを目に見えるようにしたり、音に聞けるようにしている。ちょっと違いますが(多分)、スティル・ライフをふと思い出しました。チェレンコフ光。そう池澤夏樹ですよ山田さん。
大畑彩さん。左手にコードのついたグローブみたいなのを着けさせられて、がらんとした部屋の中に放り出されます。その部屋の中を架空の物体みたいなのが動き回ってるらしくて、それは体験者の目には見えないんだけど、左手がその物体に近づくと振動と音で分かるんですね。聴覚と触角に特化した、一種のVRといっていいのかな。で、そうやってその物体を捕まえようと部屋の中を右往左往してるんですが、多分傍から見てると、ものすごくナサケナイ光景だと思う。
齋藤正和さん。この人の作品は、展示室の間のロビーにさりげなく置いてあるんですが、大きいテレビモニターが左右に二つあって、その間に小さいモニターが三つある。それをベンチに腰掛けて見るんだけど、このポジションだと、一瞬、普通のリビングでテレビを見てる感じなのね。で、映っている映像は、もともと用意してたのと、ちょうど今やってる地上波の放送をまぜこぜにしていて、例えば、新婚さんいらっしゃいと囲碁中継と環境映像ふうのイメージが不意に重なり合うという。不思議に引き込まれる。
澤井妙治+城一裕+真鍋大度の各氏の合作。この澤井妙治さんは、例のコンサートにも出てた人ですね。ICCの中には、無響室っていうんだっけ、壁面が音の反響を吸収してしまうように作ってある小部屋がありますが、そこで体験する、音と振動だけの作品。今までもこの部屋を使った作品は何度か体験したことがありますが、その中でも一番この場所に合っているかも。映像とか余計なものがないのがいい。大音響が左右の耳の間の後ろのほうで物質化して浮かんでいるような感じ。前のコンサートのときもそんな感じがしたけど、音響が純化されていることで、また違った味わい。
ええっと、今日のところはここまで。気が向いたらまた続きを書きます。
ICC Online
http://www.ntticc.or.jp/Schedule/2004/n_ext/index_j.html