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開口一番 古今亭志ん坊「元犬」
落語 林家ぼたん「近日息子」
太神楽曲芸 柳貴家小雪
落語 柳家三三「宮戸川」
落語 柳家禽太夫「谷風情け相撲」
奇術 ダーク広和
落語 橘家文左衛門「道灌」
落語 古今亭菊之丞「幇間腹」
仲入り
曲独楽 三増紋之助
落語 柳家〆治「皿屋敷」
紙切り 林家正楽
落語 柳家小三治「野ざらし」


* * *
上野広小路に着いたら、遠くからもう行列になっているのが見える。
まだ開演の1時間も前なのに、よくまあこれだけ酔狂な人たちがいるものだ、とひとりごちながら、さっそく自分も列の最後尾に並ぶ。
行列は好きじゃないんだけどね、致し方なければ即ち止むを得ない。末広亭の深夜寄席に並ぶのとは訳が違う(と自分に言い聞かせている)。
さて場内に入ると、意外にまだ客席が埋まってなくて拍子抜けした、というのは、ほんの一瞬のことで、そりゃあ、鈴本演芸場、結構キャパシティーがあるのです。みるみるうちに客がどんどん入ってきて、最後には立ち見まで出ていたようだ。
小三治師匠曰く、楽屋ではまるで正月みたいだと言っていたと。おめでたい日というのじゃなくて、これだけ大勢の客が入るのは、正月興行並みだという。。
ただたくさん入っているだけじゃなくて、客席の雰囲気もいい。おかげで、この日はどの出演者も気分よく演じていたようだ。
* * *
開口一番 古今亭志ん坊「元犬」
何度か聞いているはずの噺だと思うのに、改めて聞くと新鮮に感じる。そうか上総屋は口入屋だったのか。今でいうと人材派遣業みたいなものかな・・・とか考えながら。
なんとなく拾われた主人の許でそのまま働くものと思い込んでいた。われながらいい加減なものだ。
落語 林家ぼたん「近日息子」
番組表では、ぼたんさんと柳亭こみちさんが交代出演となっている。てっきり、お江戸日本橋亭を出たこみちさんは、鈴本に向かっているのだろうと思っていたが、この日はぼたんさんの出番。
やはり、例のドラマ「ちりとてちん」の話題から入る。女性落語家にはおいしいネタなんだな。NHKからの電話、出演依頼(それも日本の話芸)じゃなくて受信料の請求、視聴時間別受信料プランの導入、云々。すっかり、ひとつのまくらにしている。
近日息子のとぼけた息子は、もともと一体いくつくらいの設定なんだろう。ぼたんさんは、アニメの少年キャラクターのように演じている。となると、今の小学生くらいの年齢に聞こえるが、この噺では、イタズラ少年というよりは、もっと年かさがいっているよう気もする。
アニメでは少年キャラの声は女性の声優が演じることが多いように、女性の落語家には少年の声が合っているのかも知れない。そういえば、こまちさんの湯屋番の若旦那は、ちょっと年がいってるように聞こえた。これを、女性が男性を演じる難しさと一般化していいのか、どうか。
太神楽曲芸 柳貴家小雪
客席から鞠を舞台上に投げ上げてもらうところで、女性の客が投げた鞠が舞台に届かなくて、客の上に落っこちたのが面白かった。もしぼくだったら、絶対緊張してあさってのほうに行ってしまうだろう。
落語 柳家三三「宮戸川」
そうか、おじさんが若かりし頃のモテ話は、安政2年のことだったのか。
半七を追い越してお花がなぜか先におじさんの家の門の前で待ってたり、そういうディテールが可笑しい。
そういや霊厳島って、どこなんだろうと検索してみると、今の新川あたりなんだ。小網町からだったら、思ったより近いじゃない。なんとなく、もっと遠いところを走っていくように思っていた。
落語 柳家禽太夫「谷風情け相撲」
この噺は初めて聞いた。今だったら八百長って言われそう。でも、それをただ一度だけやったというのが美談になるのかな。
まくらで相撲の呼び出し、場内アナウンスの真似(上手い)。NHKの相撲中継は3時間もかかっているけど、夜中のダイジェストは15分でやっている。その気になれば15分でできる、というのが可笑しかった。
奇術 ダーク広和
ロープを使ったマジック(ついていくのが大変)。
トランプを使ったマジック、というのかな。テクニックの披露というか。
すごくのってやってました。
落語 橘家文左衛門「道灌」
落語 古今亭菊之丞「幇間腹」
一八が「壁、猫、あたし」というのが可笑しい。
仲入り
曲独楽 三増紋之助
これも不思議に盛り上がってたねえ。
独楽の綱渡り。場内にとなりのトトロの曲が流れる。紐の片一方を志ん坊さんに押さえさせて、トトロのぬいぐるみをのせた独楽が回転しながら綱渡り。
最後は客席の手拍子に合わせて紋之助師、志ん坊さんが行進して退場。
落語 柳家〆治「皿屋敷」
紙切り 林家正楽
まず「相合傘」、客席から募って「お遍路さん」「中秋の名月」「皿屋敷」「F1レース」。どれも拍手。レースカーのデザインが60年代風なのはご愛嬌か。
落語 柳家小三治「野ざらし」
野ざらしってこんな爆笑落語だったのか。
まくらで、牛の脂から作った石鹸を探す話。飛騨牛の牛脂が原料の手作り石鹸を長年愛用してきた小三治師匠、久しぶりに注文したところ、石鹸を作る機械が磨り減ってしまい、狂牛病(という言葉が出てこない)騒動の余波もあって、作り手の肉屋さんが「手作りの機械作りの」石鹸づくりをやめちゃったのだとか。
楽屋で文左衛門師が携帯で検索したら、ほかにも牛の脂で作った石鹸を売っているところがいくつか出てきた。そこからインターネット話に行きそうで行かない。
お菓子でも料理屋でも、ただ作って儲けようではなく、作り手が旨いものを食べさせようという気持ちがこもっているところが・・・というような話から、趣味の話になって、釣りの話になる。師匠は釣りはあまりしないそうだが、秘伝の餌を作って茨城の汽水湖に釣りに行ったが一匹も連れなかった、云々。
そして野ざらし。餌もつけずに釣り糸をたれながら、コツの妄想に没入、俗曲に乗せて歌ったり竿を振り回したりと大騒ぎ。このハイテンション。そして粋だ。すっかり堪能。

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