もう会期は終わっちゃったけど、ICCの「ネクスト:メディア・アートの新世代」展の覚え書きの続きをしておく。
なぜマメに覚え書きをしておくかっていうと、書いとかないとすぐ忘れちゃうからです。
中居伊織さん。タブレットに六本木やICCのある初台の地図が彫ってあって、そこをペンでなぞると、ヘッドホンからその場所のサウンドスケープが流れる。だから、通りに沿ってペンを動かすと、頭の中にその町を移動しているみたいな音像が広がるのね。言い換えると、音で書いた地図みたいな感じじゃない。いわゆる普通の地図が、その町の、ある時点の視覚を固定したものだとしたら、これはある時点の聴覚を固定したものといえるのでは。今は、普通の地図だってどんどん古くなって使えなくなるしね。
山本努武さん。机の上にペットボトルのエビアンがたくさん並べてあって、観客はそれを勝手に並べ替えて好きな形を作ることができる。で、正面に置かれたスクリーンでもその机の周囲が映し出されているんだけど、時間がズレてるのね。ほかの誰かがエビアンを並べ替えている映像が映っている。その中に一瞬、リアルタイムの自分の姿も重なるんだけど。後から来る誰かが、今度はぼくの映像の中に自分の姿が重なるのを見るんだろう。
橋本典久さん。なんていうんでしょうか、ICCのギャラリーA の360度全方位を一枚の円形の写真に合成している。地図の正距方位図法と同じようなやり方なのかな。よくわからない。で、ICCのロビーに出ると、テーブルの上に地球儀くらいの大きさの球体が置いてあって、それはロビーの中の全方位を表面に写した球体なのね。手に取ると、ある意味、全世界を閉じ込めた球体を手にしているよう。昔、赤瀬川原平さんが、カニ缶のラベルをはがして缶の内側に張り替えたのを思い出した。そういう反転しているような感覚。
るさんちまんという人たち。最初は、よく分かんなかったんです。白い壁の部屋の中に、100円ショップで売ってる品物でジオラマみたいに作ってあって、それだけのことかと思った。ところが、その部屋の様子を、コンピュータでコントロールされてるんだろうけど、自動的に動くビデオカメラが中から撮影していて、カメラが切り替わったり、パンしたり、エフェクトがかかったりという映像が、部屋の外側の壁面に投影されている。その部屋全体が、100円ショップの商品を材料に、自動的に映画を生成する装置ということなんだね。そう考えると、面白いと思った。
抜けている人もいますが、これでおしまいにします。
ICC Online
http://www.ntticc.or.jp/Schedule/2004/n_ext/index_j.html