去年、森美術館に「六本木クロッシング」展を見に行ったとき、冨谷悦子さんという作家の版画作品に魅了されて、もう顔をくっつけるようにして壁に掲げられた作品を次から次に見ていったことを思い出す。
その時、売店に行ったら彼女の作品をカバーアートに使ったCDを置いていたので、展示室の上気のままにジャケ買いしたのがworld’s end girlfriendだった。
が、この人の音楽はとっくの昔からその筋では評価の高いものだったようだから、今さらぼくが見つけたかのごとく言うことはないのだよね。
この音楽家のことを知り合いのテクノ好きの若い人に尋ねたら、その子は当たり前のように彼の曲を聞いていた。
まあでも、ぼく自身はこのCDをまず聞いて、すぐにピンときたわけではなかった。
きれいはきれいだけど、どこか、カマトトっぽいきれいさに聞こえた。
さてさて、ゆうべ見た映画「おそいひと」の音楽は、そのworld’s end girlfriendが担当している。
映画のエンディングに至り、音のかたまりが前方から向かってくるのに身をゆだねながら、美しいということと暴力的ということが音楽の中でこんなふうに同居できるものかとぼくは感嘆していたのだった。
そして、これくらいの大音響で聞かないと、この人の音楽の大事な部分が抜け落ちてしまうのだろうなと認識した。要するに、部屋の中で聞いてちゃダメなんだな。
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Hurtbreak Wonderland
world’s end girlfriend
dream’s end come true
world’s end girlfriend
「おそいひと」のエンディングの曲が入っているのは下のジャケットのほうですな。
さっそくポレポレ東中野で買った。さっきからそればっかり聞いている。