六本木のスーパーデラックスで「チェルフィッチュ『フリータイム』スペシャルライブ」というのを見てきた。
なんだかこの一文だけでもう長いですが…。
世評高いチェルフィッチュを一度は見てみたいと思っていたのだが、いや、今日のライブにチェルフィッチュが出ないことは承知しておりますよ。オンラインで公演のチケットを買おうと思ったら、スペシャルライブとのセット券という設定があって、お得そうだったので買ってしまった次第です。こういう抱き合わせ販売に弱いんだなあ。


とはいえ、今夜の出演者のうちの一組、d.v.dも、かねて気になっていた人たちだ。
彼らは先日の「六本木クロッシング」展に出展していて、ぼくも何度か、展示室の中に誰もいない時を見計らって、おそるおそる展示物のドラムを叩いたりしていたのだが(もちろんOK)、まあこれだけじゃあ彼らの本領は分かんないんだろうなあとは思っていた。今夜の対バンのサンガツという人たちのことはまったく知らないが(この人らがチェルフィッチュの舞台の音楽担当という)、ともあれ六本木に急いだ。
会場のスーパーデラックスに着いて、ビールで一息ついていると、d.v.dのライブが始まった。
構成は、ツインドラムにPCのマニピュレーター(という言い方でいいのかな)の三人。これをバンドとして考えると、こんな編成のバンドは今まで見たことない。
演奏中、PCの前の人は、ノートPCを何やら操作したり、Wiiのコントローラーらしきものを片手にスクリーンに向かってやたらめったら振りかざしてたりしている。
全然彼らの内幕は知らないが、おそらくドラムの音か何かがトリガーになって、PCから音を出したり、映像の中のオブジェクトを動かしたりしてるんだろうと思う。
ドラムのプレイを見ながら、ああこれがこうなってこの音が出たり、この絵が動いたりしてるんだろうなと想像している。実は全然見当違いの想像をしている可能性もなきにしもあらずとは思うが、そうだったとしても、こうやっていろんな音や絵との連関を想像したり予測しながら見ているのは楽しい。
ドラムの演奏と、PCから出る映像や音との間になにやらインタラクションがありそうだ、という程度は想像がつくが、いったいどのくらい、もともとプログラミングされたシーケンスに従っているのだろうかと思う。
要するに、もし途中でドラムの演奏をストップしたら、映像や音もそこでストップしちゃうんだろうか。それとも、ある程度、全体の構成は最初からできていて、ドラムはそれにオカズを加える程度の働きなのだろうか。ドラムの人はヘッドホンをつけてたようだから、何か同期音みたいなものでも出てるのかとも思うが、よくわからない。正解はその中間あたりという気もするのだが。
それにしても、ああいうことが、民生用の(?)機材でできてしまうんだなあということに感心。
見ていて快いのは、演奏している彼ら3人が実に楽しそうであること(正確には、MCじゃないほうのドラマーは、ぼくの席のほうに背を向けていて表情は分からなかったけど。あ、その人、MCの人が次回のライブの日程を間違えて言ったときにツッコミ入れてましたね)。
ドラミングでピンボールやポンを操作するアイディアは面白いね。こういうネタの選択や見せ方に微妙にノスタルジーが入った感じなのもいい。ここから転倒させて、ゲームコントローラーとしての生ドラム、ということを考え出すと、さらに興味深くて夜も眠れなくなってしまいそうだ。
休憩の間にビールをもう一杯飲んで(東京エールというやつ。結構飲ませる)、続いてサンガツの演奏。
まずセッティングをしているのを見て、結構大所帯なのに驚く。ぼくの記憶では、ドラム×2、パーカッション、スティール・パン、ギター、ベース、キーボード(何かノイズや効果音を出すためのもののもののようだ)、もうひとつキーボード(これはもっぱらバスドラのような重いリズム音を人力で出すのに使っていた)、そしてハンドチャイム(というんだそうですね)。
これらを総勢5~6人くらい(われながらいい加減)で演奏していた。これでは人数の計算が合わないが、要するに、さっきまでギター弾いてた人が、今度はスティール・パン叩いたりとか、なんだか見ているうちにどんどんパートが変わっていくのですよ。これにも驚いた。
映像は流していたけど、あまり演奏との同期とかは感じなかったな。キーボードも使ってはいたけど、むしろ人力の要素が大きいと思った。そのへんは、さっきのd.v.dとはバランスが違うんだな。
音的には、なんていえばいいだろう、これもさっきのd.v.dのカラフルなポップさと比べてしまうと、まあポップではないですね。ある人はアンビエントっぽいという言い方をしてましたが、アンビエント、と言うのかなあ、ああいうの。
個人的には、不意に演奏が終わって、彼らの音を咀嚼しきれないまま、人の流れに乗って外に出てしまった。今度のチェルフィッチュの本公演で、注意して音も聞いてみよう。
* * *
チェルフィッチュ「フリータイム」スペシャルライブ
会場: スーパーデラックス
スケジュール: 2008年03月11日 19:30~
住所: 〒106-0031 東京港区西麻布3-1-25-B1F
電話: 03-5412-0515 ファックス: 03-5412-0516

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