そうか、青木淳さんは、青森県立美術館を手がけた建築家だったんだ。
いつものごとく予習をしないので、ざっと展示を見終わったあとで、そういうことに感心したりする。
もう2年前になるけれど、青森駅からのバスを降りて、美術館に向かって歩いていくと、地面と白い塊りが緊張感をもって目に飛び込んできた。
今回の展示を通して、建築家の思考そして試行のプロセスを追体験するのは、実に楽しく、知的な興奮を覚えることだ。
建築家は、外部の制約や発注者の要望とキャッチボールするようにしながらモデルに手を入れていく。


印象的だった建築家の言葉「全体を統御するルールが見つからない。(中略)ともかく、ルールを見つける必要がある。」
唐突に聞こえるかも知れないけど、建築と法律は似ていると思う。どちらも、現実の世界と理念の世界との間で、もうひとつの世界をうちたてようとする企てだ。そこには、整然とした体系を志向する設計者の欲望の動きがある。
もうひとりの建築家、ペーター・メリクリについて、印象的だったキャプション「基本的に、メリクリのドローイングは、特定のプロジェクトと関連しない」
これはまた、対称的なアプローチだ。
が、アプローチの方向は違っても、同じように理念と現実との間に建築家の仕事を位置づけることはできるのではないかと思う。
それにしても、いずれも最終的には立体となるものを、一方は立体のモデルを通して思考し、もう一方は平面のドローイングを通して考える。極大と極小の間で変化したり、二次元と三次元の間を行ったり来たりしながら、建築家の頭の中と外を出たり入ったりしているようだ。
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「建築がうまれるとき ペーター・メルクリと青木淳」展
会場: 東京国立近代美術館
スケジュール: 2008年06月03日 ~ 2008年08月03日
住所: 〒102-8322 千代田区北の丸公園3-1
電話: 03-5777-8600(ハローダイヤル)

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