またスーパーデラックス。二日間の公演の初日。
個人的には微妙。
音楽はよかった。どこまで音楽は即興なのだろう?
どのパートをどの音楽家が担当しているのかは正直よく分からなかったが、この手の音がパフォーマンスによく合う。また、もし即興的な演奏が多いのだとしたら、よくパフォーマーは音に合わせていたものだとも思う。
が、こうして感想を書こうとすると、音楽に引っ張られてしまうということもいえる。


7時過ぎから会場に入って座って待っていたのだが、その間、正面では女性のペインターが屏風のように会場の奥半分を隠す黒いパネルに延々と描きつづける。あるいは刷毛で、あるいは素手で。
パネルの前に3人の女性が並ぶ。男に抱えられるように真ん中に置かれた女は、人か、それとも人型? ぼくはずっと、頭の中で疑問と答えを反芻していた。
突然、真ん中の女がパネルごと後ろに倒れる。人だった! その瞬間、狂気を宿したような彼女の目の色にぼくは慄然とする。
白いセパレートの下着(水着?)をつけたきわめて髪の長い女性。紗幕の前に立ち尽くしているかと思うと、実はゆっくりと客席に向かって歩みを進めていた。そのときのこちらを見下ろすような挑発するような笑みに総毛立つ思いがした。
この二人の表情だけでも今日の入場料分はあったかも知れない。
ダンス自体は、うーん、コンテンポラリー・ダンス、という感じ。半可通のぼくには、この程度の感想しか書けない。
ダンサーがほんの少し体を動かすのを見るだけで、あ、これはコンテンポラリー・ダンスを踊る人の身体だ、と思う。ダンスの所作を何度も繰り返すうちに、「芸」みたいなものが体に刻み込まれるのだろう。それは、昨日きょうでダンスを始めた人なんかじゃないぞ、と無意識のうちに体が主張しているようにも見える。
5人や6人のパフォーマーが同じ空間にいて、仮に全員が別々の方向に疾走していても、彼らが同時にそこにいるだけで、何か構成的な美を企てたものであるかのように見えてしまう。それもまた、コンテンポラリー・ダンス的な景色だ。
が、時には、そういうぼくの想定や先入観を打ちのめされるのもいい。
入場前に小腹がすいて、こってりラーメンを満腹まで食べてしまったせいか、後半のあたりで、時々、意識が飛びそうになってしまった。というか、明滅するフラッシュがヒプノティックだと思う。
ぼくの席がよくなかったのか、客席の手前で展開する動きが見えずらい。もう少し客席から離れた場所までで演ずるべきではないか。さもなければ、もう少し前の席で見ることにしよう。
明日のworld’s end girlfriendの音楽に期待。
* * *
MATAR O NO MATAR
出演: BABY-Q x 中原昌也+伊東篤宏+鈴木ヒラク+L?K?O+KILLER-BONG+Kleptomaniac+ROKAPENIS+虹釜太郎
会場: スーパーデラックス
スケジュール: 2008年08月05日 20:00~
開場 19:00
住所: 〒106-0031 東京港区西麻布3-1-25-B1F
電話: 03-5412-0515 ファックス: 03-5412-0516

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