この多幸感は何なんだと思う。
何回目の吾妻橋ダンスクロッシングか忘れたが、今回もまったく期待を超えていた。
最後に出てきた「おやつテーブル」という人たちなんて、想像を絶するよ。
よくもまあ、次から次に新しい手が出てくるものだと思う。
康本雅子とボクデスはもうおなじみだが、あとの出演者は、多分ぼくは初めて見る人ばかりだ。なじみの名前で食いつかせておいて、初出演のパフォーマーたちも好き嫌いなく食わせる。うまい配分だと思う。


これでお客が何人入っているか知らないが、今日が初日で、公演はあと2回でしょう。
全世界で、今日の客入り×3回分しかこの面白さを生で体感できないんだと考えると、世間のまっとうな人たちに対して、なんだか申し訳ない気すらしてくる。
ていうか、実はもう一回見に行くんですけどね。チケットを予約し忘れたと思い込んで、余計に取っちゃったもんで。今日がその余計分です。
SIDE A
track01 Mちゃん 『エミネムさん』
track02 Line 京急 『ベルベラ・リーン』
track03 快快(faifai) 『ファイファイマーチとpeter-pan』
track04 康本雅子+戌井昭人+村上陽一 『五輪さん』
DJ/VJタイム
SIDE B
track05 ボクデス 『ボク Tube』
track06 KENTARO DX!! 『nothin’』
track07 おやつテーブル 『畳がない。』
ドリンクカウンターにビールを取りに行くと、のびアニキがいる。先週、黄金町のBankART桜荘でブロマイドをもらったところだ。こういうのも奇遇というのだろうか。結局、のびアニキは最後の出演者の紹介までステージには上がらず、ブロマイドを配りながらフロアをうろうろしているばかりだ。
まあ、この人はこういうキャラなのだろうが、ほかのパフォーマーにしても、あれ、さっきまでフードカウンターでピタパンを売ってた人じゃない、という人がいきなりステージに上がったり、DJタイム中にフロアでごく自然に体を動かしている若者が実は後半の出演者のひとりだったりして、全体にパフォーマーと客の距離が近いのだ。
その中でも驚いたのは、やはり「おやつテーブル」で、ぼくが静かにビールを飲んでいると、和服姿のおばさん(失礼)がお盆を持って近づいてきて、お盆の上の豆菓子を勧める。つまみにちょうどいいので手を伸ばしたが、てっきりこれは出演者の誰かのお母さんが(さらに失礼)客に愛想を振りまいているのだろうと思っていた。
が、その女性がパフォーマーとしてそのままの格好でステージに上がるものだから、口を開けて見ているしかなかった。
* * *
上の文章は金曜日の公演を見てから書いたのだが、後日、別の曜日の公演を見た人と話していて、感想がまるで違うのに驚いてしまった。
だから、ぼくの感想はこの公演のひとつの断片に過ぎないとご理解いただきたいのだけど、その感想の違いについて、思い至る点がないではない。
金曜日は、夜7時開演。終演は9時を回った頃か。全体にコンパクトに締まった構成という感があった。少し短いかな、という気もしたが、多少物足りないくらいがダレなくてよいのだろうと思い直した。
上述したが、実は日曜日の公演を再見した。個々のパフォーマーの演出は、特筆するほど大きく変更していた部分はないように思うが、全体を通しての時間感(という言いかたで適当だろうか)については、金曜日とずいぶん違うように感じた。
これは、開場後早いうちから場内にいたせいかも知れない。また、再見ということで、ぼくのほうに緊張感が欠けていた部分もあるだろう。ただ、全体の公演時間が30分程度長かったのも確かだ。前半と後半の間の休憩時間(DJタイム)はもう少し短くてもよかった。
何より大きいのは、金曜日には出演がなかったChim↑Pomのパフォーマンスだろう。上に掲げた出演順のKENTARO DX!!とおやつテーブルの間にChim↑Pomが入る。
まあぼくも、現代美術に興味を持つようになってから、露悪的な作品や、生理的に不快な作品などもずいぶん見てきている。アーティストの身体に傷をつけるのもあれば、血液や精液を取り出して見せるのもある。だから、大抵のことでは驚かないし、今回のChim↑Pomのパフォーマンスだって、笑って見ている程度の余裕はある。
が、ぼくの口元はやや引きつっていたかも知れない。彼らがあのパフォーマンスをやる必然は感じられなかったし、全体の構成から見ても、公演の流れや空気が、あそこで宙吊りになってしまった。
それに、Chim↑Pomの名前で出るのなら、あの場にエリイを立ち会わせるべきじゃないのか。どうして彼女がいなかったのか分からない。あそこでどう振舞うかによって、彼女の器が試されようというものだ。
日曜日の公演でよかったことをいうと、出演者紹介の後のおやつテーブルの再登場で、のびアニキが絡んだのは面白かったけどね。
* * *
「吾妻橋ダンスクロッシング」パフォーマンス
会場: アサヒ・アートスクエア
スケジュール: 2008年10月10日 ~ 2008年10月12日
10月10日(金)open-18:00 start-19:00, 11日(土)open-17:00 start-18:00, 12日(日)open-14:00 start-15:00
住所: 〒130-0001 東京都墨田区吾妻橋1-23-1 アサヒスーパードライホール4F

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