今日も今日とて、アサヒ・アートスクエアから。
TENORI-ONのことは前から気にはなっていた。今年の春ごろだったか、東京でのローンチイベントがスパイラルで開催されるというのをチラシで見て、申し込みそびれているうちに気がつくと定員になってしまっていて、ちょっと残念な思いをした。
当方、もっぱら音楽は聴く一方で、楽器は何も弾けない。かつて人並みにギターを手に取ったことはあるけれど、コードを2、3覚えた程度で放り出してしまった。要は、圧倒的決定的に根気が欠落しているのですね。
そんなぼくでも、このような電子ガジェットを見ると、(ありもしない)自分の力を拡張してくれるんじゃないかという幻想を抱く。


さて、ぼくは昔からメディア・アートとかテクノロジー・アートとかいうのに興味があって、今回のゲストの岩井俊雄さんの名前も、かねて耳に親しいものだったが、生でトークを聴く機会はこれが初めて。しかし、こんなに饒舌な人だとは知りませんでした。
ヤマハの西堀佑さんという、TENORI-ONの開発からプロモーションまでを岩井さんと一緒に手がけた方との掛け合いでしたが、話が興に乗りすぎたのか、かなり進行が押してましたね。
スライドを見ながらのTENORI-ONの開発ストーリーは興味深いものだったけど、さすがにちょっと長いよー。生ビール2杯の酔いも手伝って、申し訳ないけど途中で少しウトウト。
ともあれ、岩井さんの学生時代に遡る、映像制作から音楽へのアプローチに、今に至るTENORI-ONの源流があって、言ってみれば、TENORI-ONを語りながら、岩井さんのこれまでの仕事を回顧するという感もあった。
岩井さん曰く、TENORI-ONは時間軸を内臓した楽器だという。これが普通の楽器だったら、演奏者が演奏行為をすることで自ら時間軸を生成しなければならない。噛み砕いていうと、例えばギターは、放っておいてもひとりでに音は奏でない(こんな理解でいいかな?)。
二人の実演を見たり、実機をちょっと触ってみたりした印象ですが、TENORI-ONには操作に応じてリアルタイムに音を出す機能もあるようだけど、本質としたらプログラマブルな機器で、プログラムの実行中にそのプログラム自体をどんどん書き換えていけるのが面白いと思った。
開発ストーリーの冒頭で、岩井さんが学生時代に買ったというヤマハのMSXのスライドが映し出されていたけれど、MSXで走るような昔のBASICのプログラムや、今でいうとHTMLを書いては直し、直しては実行する感覚と通じる気がする。
音を出すプログラムを変更してから実行するまでのタイムラグが限りなく短くなると、リアルタイムな演奏に近づくということじゃないかと思う。
世界各地でのプロモーション・ツアーの映像にあったように、生ドラムやパーカッションのような演奏が音に直結する楽器と、一旦ロジックを通すTENORI-ONとのコラボレーションは、異質だから面白い。TENORI-ONと一緒にドラム・パッドを買ったらいいだろうなあと思った(そんなお金ありませんが)。
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「a-cita cafe special program TENORI-ON★special night」
会場: アサヒ・アートスクエア
スケジュール: 2008年10月17日 19:00~21:30
program進行は19:30ー20:30予定
住所: 〒130-0001 東京都墨田区吾妻橋1-23-1 アサヒスーパードライホール4F

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