そう考えると、ぼくのスポーツクラブ通いが続いたのも、しょせんぼくが気ままな一人暮らしなのに加えて、たまたま今の仕事の拘束時間が短くて、職場の人間関係に煩わされることも少ないという幸運に恵まれたからだ。
といっても、いつまでこの仕事を続けることになるのか、それはわからないし、また、もし結婚したりすると、家に奥さんや子供が待ってるのに自分ひとりだけジムで自転車こいでるわけにもいかないんだろうね。いや、ダンナがスマートになるというんだったら、それくらい奥さんも許してくれるのかな。まあ、ぼくには当分結婚する予定も相手もないから、そっちの心配は無用なんだけど。
ともあれ、こうやってジム通いをして体重を減らせたのは、ぼくにとっていい機会だったんだろうと思う。この機会を逃したら、今後、こういういい条件が重なることは滅多にないんじゃないかな。
それから、長く続けられたのは、ぼくの性格もあるんだろう。毎回ジムに行くと、新聞を読んだりしながら必ず1時間はエアロバイクに乗っていると書いたけれど、そんな話をすると、人によっては、信じられないという顔をされることもある。体力的なことよりも、1時間も同じ場所でひとり黙々とペダルをこいでいることが信じられないという口ぶりだ。
が、ぼくは、駅前の焼鳥屋で東スポなどを片手に1時間くらいお酒を飲んでいることだって結構あるし、場所が焼鳥屋かスポーツクラブかという違いだけで、その間に心理的な距離はあまりない。もっとも、ジムで東スポを読むのは恥ずかしいので日経にしているけれど(そこがちょっと減点だね)。
だから、ひとりで喫茶店や居酒屋に入って、ぼんやりと時間を過ごすことのできる人なら、ジム通いを長く続けるメンタリティはあるんじゃないかと思う。逆に、ひとりでは喫茶店やレストランには入れないという人(こういう人も結構いる)だと、会社帰りにふらりとスポーツクラブに寄って、ひとり黙々と自転車をこいだりするのは向かないんじゃないかな。
もっとも、人によるんだろうけどね。仲のいい誰かと入会して、そのままずっと二人一緒に通い続けることができるのなら、それはそれでいいんだろうけど。
こうして、ぼくは、きょうもひとり、エアロバイクをこぐ。
まあ、独身者の機械だな。ミシェル・カルージュなら、スポーツクラブのために一章を書き加えたかもしれない。