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「瀧口修造の詩的実験」朗読会
1. LINES
2. 花籠に充満せる人間の死
3. DOCUMENTS D’OISEAUX 鳥たちの記録
4. MIROIR DE MIROIR
5. 絶対への接吻
6. 地上の星

告白すると、ぼくはこれまで、真夜中に不意に本棚から瀧口のテキストを取り出して、声を出して読み始めることが一度や二度ではないので、他の人がこのテキストをどんなふうに朗読するのか興味があった。
岡安圭子さんの朗読は初めて聞いたが、瀧口のテキスト以外にも現代詩の朗読を手掛けている方のようだ。今回、岡安さんは、オーソドックスなスタイルで丁寧に読まれていたと思う。
まずは、それが妥当なのだろう。ここで、あえて過剰に抑揚や緩急をつける読み方は想像しずらい。
それでも、初期の「LINES」や「花籠に充満せる人間の死」あたりでは、そうか、これくらい間を取ってもいいのか、と感じ入りながら聞いていた。
それぞれのテキストについての土渕信彦氏の説明は理解を助けた。
瀧口のテキストとプラトンのとの関係、またソシュールの言語学からの影響について興味深く聞いた。そして、それらはいずれも西脇順三郎を通じて瀧口に流入していたということ。
「詩的実験」の展開については、来週のギャラリー・トークの場で、再び土渕氏から詳細な解説が聞けるのだろうと期待している。
また土渕氏は、「詩的実験」には収められていない「PIRATERIE 1930」というテキストのPIRATERIEという言葉についても言及していた(ブルトンの「超現実主義と絵画」から来ているということだったか)。
この「PIRATERIE 1930」や、あるいは同じく「詩的実験」未収録の「想像と火」のようなテキストには、深夜、巨岩の転がる岩場を猛スピードで突進しているような、切迫感と絶望的な爽快感がある。それを、まさにこの唇で肉声としているうちに、ついにはぼく自身が白熱化してしまう。
今回選ばれたテキストでいうと、「絶対への接吻」の冒頭、「ぼくの黄金の爪の内部の瀧の飛沫に濡れた客間に襲来するひとりの純粋直観の女性・・・」というフレーズがするすると流れだしたとき、ぼくは一緒にこの急流に飛び込めるかも知れないと思った。が、その後は、ややアクセルを緩めたのかも知れない。
20人ばかりの聴衆は、最初から最後まで、みな声をひそめて聞いていたけれど、特に初期のテキストについては、もしかしたら、声を出して笑ってもいいのかも知れない。明るく、からりとした、独特のユーモアがあると思った。

* * *

瀧口修造の光跡Ⅰ「美というもの」
会場: 森岡書店
スケジュール: 2009年06月29日 ~ 2009年07月11日
住所: 〒103-0025 東京都中央区日本橋茅場町2-17-13 第2井上ビル305号 森岡書店
電話: 03-3249-3456

関連イベント:
「瀧口修造の詩的実験」朗読会(岡安圭子)
スケジュール: 2009年07月04日 19:00~ 18:30開場

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