いや~、ずいぶん昔にシティボーイズを見に来て以来だな、この場所は。
しかしだ、新しい酒は新しい皮袋に盛れの譬えもある。新しい器を得たカンコンキンシアターはどのように変わったのか?
結論だけ言えば、あまり変わってないと言うこともできる。そりゃあそうだよね、関根さんも言ってたけど、場所が変わったって、舞台の上に立つ人も、客席にいる人も変わらないんだから。

むしろ、去年からルーがいなくなったのに加えて、さらに今回から、漁火兄弟とか、イッチーとか、永年勤続の中堅メンバーをリストラしたせいで、相対的にラッキィの存在感が上がって、結果として余計にヒドいネタが目立つことになった。
もう感覚が麻痺していると言うほかないね、ラッキィの下ネタには。やるほうも、見るほうも。毎回見るたびヒドいと思うが、今回もますますヒドくなっている。
でも、ヒドいかヒドくないかといえば、相当ヒドいんだが、偉いと思うな。とにかくあんな50歳はないよ。それでいて、時折、妙に礼儀正しいのも可笑しい。誰もが感じることだろうけど、根はマジメな常識人なんだろうと思う。
公演全体としてみれば、今回の変化は、決して悪くないとぼくは思っている。
確かに、出演者が舞台の上で時計を気にするカンコンキンシアターなどかつてないことだが、といって、長ければ長いほどいいのかというと、だんだんそうは感じなくなってきた。時間的には、このくらいでいいよ。終わって多少物足りないくらいが、気持ちが後を引いていい。
それに、ケツカッチンなのを逆手にとって、エンディングについて、冒頭からひねった構成で来た。まあ、それも言ってるだけなのかな。また、このパターンを何度も使えるとは思わないけど、少なくとも今回は、意表を突かれてよかった。
下ネタや芸能人いじりは今までどおりとして、個人的には、派手なギャグじゃないんだけど、細かいネタでツボにはまるものがあった。
以下、ネタバレになりますが、記憶に残っているのを記しておこう。
あれはどういう文脈でウドが言ってたんだっけな、火星人がやって来て、水金地火木土天冥海、隣の木星人に、遅刻してすみません、というの、実に意味ない(うまく文章で伝わるかな)。
それから、関根さんが「おくりびと」の納棺の振りをしながら、私は誰でしょう。ヒント、BGM。スシ食いねえ~、というの、くだらね~。
これは毎度のことだけど、相変わらず踊りは切れるね、みんな。さすがラッキィがついているだけある(玉寄さんもかな)。これには本当に感心する。

そういえば、前に、ほぼ毎日イトイ新聞の欽ちゃんの連続対談を読んでいて、踊りと「芸」の関係について、欽ちゃんが言っていたことを思い出した。この際、ちょっと書きつけておこう。

土屋(引用者注:日テレの土屋敏男氏) 大将は、番組やるときに、「踊りが基本だよ」とおっしゃっていたことがあるんです。「ジャニーズの子たちがいいのは、踊りをやってきてるからなんだよ。それはいわゆる『間』っていうのが踊りの中にはあるから」
それを聞いたときには、なるほど、と感じました。

萩本 いま、基礎からやっているのは、ジャニーさんところしかないですからね。踊りをすると、芸としての「間」をおぼえます。しゃべりで「間」をおぼえても、それは、芸にはならないんです。
http://www.1101.com/kinchan/2004-09-14.html

しゃべりで「間」をおぼえても芸にはならない、か。含蓄のある言葉だな。
噺家でも踊りをやる人が魅力的なのは、「間」の種類が違うだけで、通じるものがあるんじゃないかと思う。
話がカンコンキンから離れてしまった。ご容赦を。

* * *

カンコンキンシアター23クドい!「劇場が変わりました」
会場: 東京グローブ座
スケジュール: 2009年07月03日 ~ 2009年07月12日
住所: 〒169-0073 新宿区百人町3-1-2
電話: 03-3366-4020

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