東向島から

吉行淳之介ではないけれど、向島は「原色の街」だと思った。
向島の街を歩いていると、不意に原色が目に飛び込んでくる。
それは、たわわに実った橙のオレンジ色であり、あるいは枝先からこぼれそうな南天の赤であり、ときには路地園芸の花の色である。
くすんだ家並みの、朽ちかけたトタンや板塀の合間から、鮮烈な原色がちらりと顔を出して、ぼくの足を止める。

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