前回のお話は、映画「大当り百発百中」のストーリーを紹介しているところで終わってしまった。
この映画、ぼくはもちろん主役の小沢昭一さん目当てで見に行ったのだけど、小沢さんや前回も紹介した加藤武、松原智恵子といった主なキャスト以外に、ほとんど名前くらいしか知らないような昔の喜劇役者が現役バリバリで動く姿を見ることができたのは、思わぬ儲けものだった。


例えば、小沢さん扮する及川の上司、イースタンレコードの文芸部長を演じるのは、由利徹。由利徹って、あのオシャマンベの人?
というか、それくらいの知識しかない。まだ生きているんだっけ?と調べたら、99年に亡くなっていた。そういえば、そうだったか。
東北なまりにちょび髭の姿は、今でいうと、ちょっとマギー司郎のキャラとかぶる感じかなあ。話の展開の途中で不意に姿を見せて、小沢さん扮する及川に作詞の締め切りを迫る、飄々としていて、それでいてちょっとしつこい、トリックスター的なキャラだ。
が、この映画の中の由利徹は、例のオシャマンベとかカックンとかいうギャグを見せるわけではない。正直いうと、ぼくは由利徹といえばオシャマンベの人、という程度の認識しかなかったから、この映画での由利徹の喜劇的な存在感と、自分の中のシンプルな由利徹イメージとが合わない。
一発ギャグのフレーズはわかりやすいけれど、それだけで片付けてしまっては、その人の一面しか見ていないことになる。特に昔の人になればなるほど、そういう片付け方をしてしまいがちなのだろうが、気をつけないと、と思う。
由利徹は1921年生というから、この映画の当時は40歳か。脱線トリオとして人気者だったころらしい。
脱線トリオからは、南利明も出演している。ヤクザの情婦を撮影する写真家の役だ。
由利徹はまだ、晩年までマスコミでときどき顔を見せていたように思うけど、この南利明って人はほとんど知らないなあ。
唯一知っているのが「ハヤシもあるでよ」っていうオリエンタルカレーのCMか。もちろん同時代で見たわけではなくて、雑誌とかテレビの懐かしCMみたいな企画で知っただけだけどね・・・。
この映画では、軽妙な名古屋弁を駆使して、テンポよく、かつデレーっと女の子たちにからんでいく、いい味を出していた。
由利徹と同じくらいまで生きていたようだけど、この人、晩年はどんな活動をしていたのだろう。不勉強にして知らない。
由利徹さん肝臓がんのため死去(日刊スポーツ)
http://www.nikkansports.com/jinji/1999/seikyo990521.html
オリエンタルCM集(「ハヤシもあるでよ」のCMが見られます)
http://www.oriental-curry.co.jp/cm2.html

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