土曜の日経の夕刊を読んでいたら、最終面の文化欄に、天王洲のアートスフィアが3月で閉館したという記事が出ていた。
そうかそうかそうだったのか。しばらく天王洲に行っていなかったから知らなかった。
というか、ぼくが天王洲に足を運ぶのは、もっぱら毎年春のシティボーイズライブを見に行くときくらいだったのだけど。
それも、去年は結局行かなかった。閉館するっていうんだったら行っとけばよかったか。
そうかそうか、そういうこともあって、今年のシティボーイズライブは、池上本門寺なんていうところでやることになったのか。
最初、公演のDMを見て、なんであんなところでやるんだろうと思っていた。
東京に出てきて10何年も経つが、あのへん、全然土地鑑がない。
地図を見ると、池上本門寺に行くには、蒲田駅から歩くのはキツイのか・・・。やはり池上線に乗り換えて、池上で降りるのか。
話は飛ぶが、蒲田、池上とくると、小沢昭一さんである。
小沢さんは戦前の蒲田で少年時代を過ごした。小沢さんの実家である小沢写真館は蒲田駅から程近くにあった。
随筆だったか「昭一的こころ」の文庫本で読んだか忘れたけど、池上本門寺もまた、小沢昭一少年の遊び場だったという。去年、Webで小沢さんのことを検索していて、偶然、6月に小沢さんが本門寺でお話会をやるという情報を見つけた。行きたかったけど、平日の夕方だったので断念した。
さて、小沢さんといえば、ご存知「小沢昭一の小沢昭一的こころ」だけど、シティボーイズの大竹さんもラジオ番組をやっているらしい。
文化放送の「大竹まこと 少年ラジオ」。
が、その番組、ぼくは一回も聞いたことがない。
だいたい、この部屋はAMが全然入らなくてね。AMラジオを聞こうと思うと、ポケットラジオを外に持ち出すか。ま、そこまでして聞こうということもないしね。
某掲示板から得た情報によると、ちょうど先週の土曜日、なんとその「少年ラジオ」に、小沢昭一さんがゲスト出演していたらしい。
私的には結構すごい組み合わせだ。なにしろ、私の新旧大好物が一同に会するわけだから。なんだか、どっちが新でどっちが旧だか、よくわからないけど。
ま、それでも聞き逃してしまった。正直、忘れてました。起きてたんだから、聞いててもよかったんだが・・・。
前置きが長くなった。その池上本門寺に、シティボーイズミックスPRESENTS「マンドラゴラの降る沼」を見に行ってきた。
これも結論から先に言うと、かなりよかった。
何より、構成がよくできていると思った。
このへんの話、あんまり詳しく書くと、もしかしてこれから始まる名古屋や大阪の公演を見る予定の人たちが、何かの間違いでこの文章を読まないとも限らないですから、詳しく書くのはやめましょうかね。まあ、そんな人はいないですか。もしいたら即刻画面を閉じるように。
毎回シティボーイズライブは、いくつかのコントのオムニバス形式で時間をつないでいくけれど、必ずしもそれぞれのコントがまったく無関係ということはなく、何かしら、公演全体に流れるテーマというか、シチュエーションが設定されていることが多い。
今回の場合、崖の上からものすごい勢いで足を踏み外してしまったハイカーたちのシチュエーションがひとつ。
さらに、もうひとつある。9年前に起こったという一家殺人事件に関するシチュエーションもそうだろう。
この一家殺人事件のシチュエーションには、ある劇中劇が含まれているのだけど、と言っても、最初のコントでは、その存在について語られるだけの、いわば不在の劇中劇だ。その劇中劇が、忘れていた頃に不意に現前する。ここでそう来るか。
また、崖を踏み外したハイカーたち。最後の一瞬の中の永遠、という状況それ自体もいいのだけど、その状況をうまく使って、最後の最後に、その日のコントが次々とフラッシュバックする。これには唸った。
同時に、これは銀粉蝶という人の存在が大きい。それぞれのコントの中では、クセのある脇役というくらいの感じだったのに、結果的に、この人が、バラバラな個々のコントを、ひとつに繋ぎとめることになる。例えるなら・・・「家政婦は見た!」の市原悦子みたいなものかな(違うかな)。
また、この人は芝居がうまいなあと思う。いとうさんには悪いけど、最初のほうの殺人事件の聞き込みの場面で、夫婦役で二人が絡んだとき、正直そう思った。これに対して、斉木さんなどは、銀粉蝶さんの前では、あえてわざとヘタに芝居をしているように見える(多分そうなのだろう)。
改めてスタッフのクレジットを見ると、演出:細川徹、構成:いとうせいこう、となっている。こうした全体の構成は、やっぱりいとうさんが主に考えたのかな。
そういえば、いとうさんはシティボーイズライブに6年ぶりの参加だって。そんなになるのか。かなり驚き。
なんだか構成のことばかり書いてしまったけど、個々のコントやギャグもよかった。その両者がうまくあいまって、いわば「パスタにソースがよくからまっている」みたいな状態といえばよいか。
結論。今回の公演、私的にはかなり満足度が高かった。会場が駅から遠いとか階段がキツイとかは言うまい。パンフレットの1,800円は高いとかも言うまい。言ってしまってるけど。
池上本門寺公式サイト
http://www.honmonji.or.jp
大竹まこと 少年ラジオ
http://www.joqr.co.jp/shounen/
マンドラゴラの降る沼
http://www.honmonji.or.jp/05topic/05event/mandoragoras/
mandoragoras.html