飯を食いに外に出て、帰ってきてテレビをつけたら、渥美清の特集をやっていた。
生い立ちから死まで、ゆかりのある人たちのインタビューと当時の記録でたどる番組。
ずるずると最後まで見てしまったのは、生前の渥美清を知るひとりとして、もしかすると小沢さんのインタビューもあるんじゃないかな、というかすかな期待からだったのだけど・・・。やっぱりありませんでした。
まあ、そうだよね。基本的には早坂暁氏、そして、特に「男はつらいよ」以降は山田洋次氏のインタビューを中心に構成されていたように思う。
昔の浅草時代の話はやっぱり興味深いな。ただ、喰い足りないと思ったのは、関敬六のインタビューがなかったこと。若い頃の渥美清を語るうえでは、絶対に外せない人だと思うんだけど。この番組を制作していた時には、もしかすると、もうあんまり具合がよくなかったのかな。
小沢さんの対談集「日日談笑」に、関敬六と井上ひさし、そして小沢さんによる渥美清追悼の鼎談が収録されている。今回の番組にも、この鼎談のエッセンスが少しあってもよかった。要するに、ぼくは、俳優・渥美清よりも、むしろコメディアン・渥美清のことをもっと知りたかったというわけだ。
結局、関敬六の舞台も、ぼくは一度も見ないままだった。さっさと自転車飛ばして浅草に見に行っていればよかったんだ。
人は死ぬから、生きてるうちにどんどん見ておかないと。と思って、小沢昭一の名前を出演者の欄に見つけたら、いそいそと足を運ぶ。
そういえば、いま書きかけの「笑いのハイスクール」の話、まさにその公演の当日に、関敬六の葬儀が行われていたんだ。小沢さん、行ったのかな、行けなかったのかな。
小沢さんの特別講義では、関敬六の死のことは、おくびにも出さなかった。
幕が開いて、舞台の後方で憮然とした表情で立っている小沢さんの姿を見て、そのたたずまいが妙に可笑しかったのと同時に、なんとなく、複雑な思いがした。これは、ぼくの考えすぎか。